健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

Q&A

夜中に吠えて困っています

初めて書き込みさせてもらっています。わが家には10ヶ月になるポメ♀がいます。最近、夜中の3時ごろになると、起きて、「かまって!遊んで!」とばかりに吠えてしまいます。昼間散歩へでかけていないわけでもなく、運動もさせています。
私か旦那が起きて、かまってあげると吠えなくなるのですが、寝不足が続いています。

どうしたらいいのか悩んでいます。
どなたか、アドバイスをお願いいたします。

 ご質問者の愛犬は生後10ヶ月になって、初めてこのように夜中に起きて、遊ぶことを要求し始めたようですね。このくらいの年齢で、初めて起こったという事は、大まかに2つの原因が考えられます。
 1つは、10ヶ月という年齢なので、性成熟し始めたことが関与している可能性。飼い主に反抗、言い換えると自分がリーダーになろうとしはじめているのかもしれません。もう一つは、最近何か愛犬を不安にならせる事が起こったか、あるいは最近、夜中の3時ごろに愛犬を起こしてしまうような物音が聞こえてきていたか、というようなことです。

 ただ、上記のことはきっかけであり、飼い主の方が寝不足になるくらい愛犬が夜中に遊ぶ事を要求し続けることは、飼い主の方が愛犬の行動を増長している、褒めている、ご褒美を与えていることを忘れてはいけません。今のご質問者の方が、ご主人ともども夜中に吠えるから、黙らせるために遊んであげるということで

 『愛犬が何かを要求する』⇒『飼い主がその要求に従う』⇒『愛犬は要求が通り満足する』

という図式ができてしまっています。
つまり、愛犬が要求すれば、それは叶い、愛犬は満足し、またその行動を繰り返し繰り返し続けることになっているのです。これでは、どちらがリーダーか?ということになってしまいます。

 先の図式を断ち切るためには、愛犬が要求しても、それに応じないことが大切です。同様に、誰がリーダーであるかを愛犬に納得させることも大切なことです。そのためには、しっかりリーダーシップを取るようになさってください。

■1.リーダーシップを取りましょう

 基本的なしつけ〔オスワリ・マテ・フセなど〕はできますか?
号令をかけ、それに従ったら褒めるということを初心にかえってやってみましょう。オスワリやフセをマテと組み合わせて、最初は数秒から待たせ、徐々にその時間を長くしていく練習をしていきましょう。この練習は1日に数回、1回数分程度から始めるようにしていきます。
犬にとってフセは服従の姿勢です。この号令に従わせる事で、飼い主がリーダーである事を認識させていくことができます。15分程度フセを維持できるように徐々に頑張っていきましょう。

 また、ベッドやソファなどを犬と共有しないようにしましょう。
同じ位置に座る事で愛犬と飼い主が同等とみなされる事があります。また、愛犬が勝手に膝に座ったりしているような場合であれば、愛犬のほうが上であるとみなしている場合があります。こんな事がないように愛犬用のベッドやサークル、あるいは愛犬
用の敷物を用意し、そこでくつろぐようにさせましょう。例えば敷物の上でフセやオスワリをすることを訓練していくと、急な来客で静かにして欲しい時など、そこで待たせる事ができて便利です。あるいはサークルの中に入ることが楽しい、安全としつけていくことで外出が楽になることも多いものです。

※ドクターズアドバイスの記事『わんちゃんのしつけを考えよう』もご覧になってください。

■2.吠えたらフセ

 吠える時、犬は四肢を踏ん張っています。そこで、もしフセという号令を行い、それに従えば犬は中途半端な声しか出せない、あるいは吠える事をやめてしまう事があります。
 伏せさせて、かつ静かになってから数秒経過後に良しと軽く褒めてあげましょう。また伏せさせてから、ご褒美としてかじるタイプのおもちゃを与えるようにすると、それ以上吠える事ができなくなりますね。


■3.吠えたら無視

 愛犬が夜中に吠えたら、ご近所の事を思うとすぐに静かにさせたくて、つい遊んでしまうかもしれませんが、これを続けていると、この先もずっと飼い主の方は寝不足になってしまうことが。
 これを解消するために、夜中に吠えた時にはダメと一言きつく号令し、その後は無視するようにしていくのも一つです。吠えてもご褒美がないどころか、大好きな飼い主の方に無視されることで愛犬は吠えても良い事がないと学習していく事ができます。

■4.動物病院やインストラクターにご相談を

 先に述べましたように、吠える理由の一つに性成熟が関係しているかもしれません。あるいは体のどこかに不調があり、それで吠えている可能性もあります。もし、将来子供を生ませる予定がなければ、避妊を考慮されつつ、動物病院で健康診断をお受けになることをお勧め致します。
また、トレーニング方法やタイミングが上手くつかめない時など、行動学専門の獣医師やインストラクターの方にご相談していくのも一つです。
 早急に吠えるのを止めさせたい時に、刺激臭のでる首輪などを使う方もいらっしゃいますが、これはあくまでもトレーニングをしていく上での補助的なものであり、万能ではありません。これらの使用を考慮される場合でも、専門家の訓練指導のもとで使っていかれることをお勧めいたします。