健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

Q&A

歯の健康管理について

ワンちゃんの歯の管理をどうしていますか?
歯磨きや歯拭きなど 様々な方法があるようですが…。
また、どういったことが 問題として出てくるかしら??
歯石とか?ガムなどはどうかなぁ?
歯の健康管理に不安をもっているため 皆様のワンちゃんについて教えてくださ
い。
歯の病気って…。

~歯の管理~

 愛犬の歯の管理は、基本は人間の歯の管理と同じです。
ただ、『自分自身で歯を磨く事、手入れをすることはできない』という点で、子供の歯を管理するのと似ているかもしれません。
 現在、私達用のデンタルケア用品が幾つもあるのと同様、犬のデンタルケア用品も幾つか市販されています。

 犬用歯ブラシ・・・棒状や指サック状のものなど
 歯磨きシート・・・指に巻きつけるタイプ
 犬用歯磨き粉・・・色々な味や匂い付き、歯磨きシートや歯ブラシと併用する
 口腔内用スプレーやジェル・・・歯垢を作り出す細菌の増殖や炎症を抑える
 噛むおもちゃタイプ・・・犬が噛んで遊ぶことで物理的に歯垢を除去し、歯茎のマッサージも行われる
この他、歯垢がつきにくいフードなども市販されています。

最も効果的に歯垢を除去できるのは、やはり歯ブラシと歯磨き粉のセットになりますが、これらは飼主・愛犬双方のトレーニングが必要となってきます。
 上記の幾つかのうち、飼主の方が継続して利用できるもの(時間的、コスト的に利用可能なもの)で、愛犬が好むものを選ばれると良いでしょう。
例えば、歯垢がつきにくいフードを愛犬に与えながら、食後に軽く歯磨きシートと歯磨き粉で歯の表面をきれいにしてあげる。
歯のトレーニング後、ご褒美として遊ぶ時に噛むおもちゃタイプで遊んだり、お留守番させる時には噛むおもちゃタイプを与えたりする。
 時間がなくて忙しい時に、口腔内用スプレーをちょっと一噴き、といったようにデンタルケア用品を一つに限らず、複数を組み合わせて利用されることも、もちろん可能です。

 ところで、愛犬たちの歯、何本あるかご存知ですか?
犬の永久歯は、基本的に次の表のような数になります。

上下・左右の歯をあわせると合計42本もの数。
これらを最初から全部歯磨きしていくのは、愛犬にとってだけでなく、飼い主の方にとっても難しいものです。
歯を拭く、あるいは磨く事は、飼い主の方がその方法を学び、習慣化していく必要があります。
飼主の方がリーダーとなって、愛犬に我慢をさせ、かつ歯を拭く・磨く事が『ご褒美のあるもの・褒めてもらえる嬉しいこと』と、教えていかなければなりません。
毎日でなくとも、2~3日に1回、週に1回だけでも行なえば、全くしないよりはずっと効果があるデンタルケアです。
もし、まだ行なっていないのでしたら、今日から30秒ずつでも始めてみては如何でしょうか?

デンタルケアのトレーニング方法についてはドクターズアドバイス記事にあります
歯磨きを毎日の習慣に』やQ&Aの『Q105 歯石について教えてください』の内容をご参考になさってください。

~歯の病気~
 歯の病気、犬では人間と違って虫歯は一般的ではありませんが、デンタルケアを行なっていないと、やはり歯垢がどんどんついて、歯石となり、その奥で歯肉炎や歯周病が起こってしまいます。
 これを放っておくと、口臭がどんどん酷くなり、歯茎から出血したりしてきます。
また、歯茎がやせていって歯がぐらぐらして抜けてしまうというだけでなく、歯の根元に膿がたまって、骨を溶かし顔面に穴が開いてしまう根尖膿瘍という病気を起こす事もあります。
 また、歯肉炎や歯周病があると、そこから口腔内の細菌が血液の流れにのって、全身へ移動し腎臓や心臓といった大切な臓器にダメージを与えてしまう事があります。
 
このようなことを防ぐためにも、定期的にデンタルケアを行なっていってあげましょう。
ただし、すでに口臭があったり、歯石がついていたり、歯茎が赤くなっていたり、というようなことがあれば、デンタルケアを始める前に、一度かかりつけの動物病院で診察を受けられる事をお勧め致します。