健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

Q&A

愛犬に「お友達」を作りたい

こんにちは。うちの愛犬「空」が1歳2ヶ月になり・最近あることに気が付きました!それは「この子!」というお友達が居ない事。空の性格はオクビョウで家族にはなつっこいけど他人や他の犬にはなつっこくないんです(―_―;)でも一緒に遊んだり出来る友達が居た方がいいと思うんです。そこでイイ友達の作り方、是非アドバイス下さい!お願いしますm(_ _)m

<社会化は十分ですか?>
 空ちゃんは1歳2ヶ月という年齢ですね。
空ちゃんが母犬や兄弟犬、生まれ育った家から離された時期は生後何週齢頃か、ご存知でしょうか?
 犬は遺伝的に警戒心が強い場合もありますが、幼い頃の環境などによっても人や犬だけでなく様々なものに対して、適切な反応ができなくなってしまうことがあります。犬には、一般に『社会化期』と呼ばれている、まさに社会に適応するための準備段階の時期があります。これは、歩けるようになる頃から生後4ヶ月齢頃までの短い期間であり、この時期に親や兄弟を通じて犬同士のコミュニケーション方法や人に対しての付き合い方を身に付けはじめます。また、世の中には色々なものがあると受け入れる、それらに対して色々学んでいく時期でもあります。
 この社会化期の早期に親兄弟から引き離され、その後に外でいろいろなもの(車や自転車など)にも出会わず、他の犬や人との触れ合いが少なかったような場合、これらに対してどう接していいかわからず、怯えて飼主の方の後ろに隠れたり、吠えたりといった過剰な反応を示す事があります。
 また、社会化期の時期だけでなく、これを過ぎた頃に他の犬や人から、とても驚かされたような経験があれば、他の犬や人に対して怖がってしまう事もあります。

 もし、空ちゃんが上記のようなことに当てはまるのであれば、無理やり友達を作ろうとしても、かえって不安感を増してしまったり、余計に怯える事になってしまったりすることもあります。
 犬の友達を作るのを目標とするのではなく、まずは少数の特定の人や犬に対してあまり怖がらないようにすることを目標としてみては如何でしょうか。

<協力者を探しましょう>
 家族以外の人にまず慣れてもらうために、お散歩の時に出会う人、犬に対しての接し方を知っている人に空ちゃんの性格を良くお話して、協力してもらうことをお願いしてみるといいかもしれません。
 協力者が得られたら、段階的に空ちゃんと接してもらうように依頼します。最初は、空ちゃんが自由に興味をもって協力者に近づき、相手を観察したり匂いを嗅いだりできるようにします。この間、協力者の方は飼主の方とくつろいだ雰囲気でお話してもらい、空ちゃんに声をかけたり目線を合わせたりしないようにします。(この時、空ちゃんが不安になったら逃げられる場所に自由にいけるようにしておきましょう。

 次に空ちゃんが興味を持った頃に、空ちゃんの大好きなおやつ(小さなもの)を協力者が手に持っておきます。おやつの匂いを嗅ぎつけて空ちゃんが近づき、協力者の手の中にあるおやつを取るために、空ちゃんの鼻などが手に触れたらおやつをあげてもらうようにしましょう。これを数度繰り返し、空ちゃんがリラックスしているようであれば協力者の方に声をかけてもらったり、撫でてもらったり、遊んでもらったりするようにします。
 上記のようにして、次々と別の人にも同様に協力してもらうようにすると、人に対してはあまり怖がらなくなるかもしれません。
 ただ、これは根気良く、気長に、飼主のかたと空ちゃんともどもリラックスできるような期間をあけて行いましょう。決して急いではいけません。まず一歩ずつ焦らずお二人のゆったりできるペースで行うようにしましょう。

<社会化が十分にされた犬から社会化を学ぶ>
 人への接し方のルールの基本は、飼主さんやご家族の方から空ちゃんは学んでいるはずですが、犬に対しての接し方はあまりわかっていないかもしれません。
 こんな時、お手本となるような十分に社会化された犬と接していくことで、犬とのコミュニケーション方法を学びなおす可能性があります。
 十分な社会化を受けた愛犬と暮らしている方に、協力を依頼して、空ちゃんと一緒に過ごしてもらうようにしましょう。この時、相手の犬は空ちゃんと同程度の体格が良いでしょう。また、先に述べましたように空ちゃんはもちろん、相手の犬も自由に動ける空間で出会えるようにしておき、飼主の方は手を出さずに落ち着いて、見ておくと良いでしょう。
 上記のことは、インストラクターの方のもとで行う事をお勧め致します。インストラクターの方は十分に社会化された犬をたくさんご存知ですから、空ちゃんにあう犬を見つけて、そのときどきに合わせたアドバイスをしてくださると思いますよ。