健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

Q&A

トイレのしつけについて

我が家には3歳になるポメラニアン(雄)と1歳になったばかりのポメラニアン(雌)がおります。
悩みは1歳の子がトイレでオシッコが出来ない事です。3歳の子と同じようにしつけたつもりなのですが、あちこちにもらしてしまいます。いざトイレに連れて行くと引っ込めてしまい忘れたころにもらします。
もう1歳になってしまったけどまだ憶えてくれますか??よい方法がありましたらおしえてください!!

ご相談者の愛犬は、室内用のトイレでオシッコができないとのこと、ウンチはトイレでできているのでしょうか?そうであれば、トイレの場所は覚えているということになり、別の原因で粗相をしている可能性もありますね。
 また、今まではトイレでオシッコができていたのに、最近になってできないということがあれば、1歳の女の子ですから発情が近づいている可能性や、膀胱炎を起こしているなどの可能性も考えられます。発情が近づいていれば、オシッコの間隔が短くなり、またあちらこちらにオシッコをするようになります。また、膀胱炎でも同様の症状がみられます。

念のために、膀胱炎がないかどうかなどを動物病院で健康診断をお受けになってみられるのも良いでしょう。
 
・トイレトレーニングは根気が必要
トイレトレーニングは愛犬から目を放さず、排泄の素振り【クンクン、クンクン特定の地面の臭いを嗅ぎ出す、クルッとまわる、腰を落とすなど】がみられたら、トイレと決めた場所へすぐにつれていってあげるようにしましょう。

とはいえ、24時間愛犬から目を放さないでいるのは、飼い主の方も愛犬も疲れてしまいますね。このため、どんな時に排泄するかを記録しておくことをお勧め致します。
通常、排泄のタイミングは寝起き・食後・運動後が多いものです。これらの後30分前後は愛犬の様子を見ておき、どれくらいで排泄したかをメモしておくのも一つです。

しつけを覚えるまでは、繰り返しトイレに連れて行き、うまく排泄したら褒めるようにしていきます。失敗を全然しなくなるまで少なくとも1週間から2週間は頑張ってみましょう。
タイミングを捉えること、褒めることはしつけの基本です。

~ 基本の基本に戻って再しつけを ~
1. トイレの場所・素材は愛犬にとって快適か?
排泄している姿は雄雌ともにやや無防備な姿勢です。愛犬にとって安心できる場所にトイレは設置しなければいけません。
犬は自分の眠る場所や食事場所の近くにトイレがあるのを好みません。トイレはケージや眠る場所、食事場所から適度に離れている所で、適度に物陰である場所においていますか?

飼い主の方が雌犬の方に注意が向いているため、雄犬が構ってほしくて一緒に移動してしまい、オシッコしようとしている雌犬が落ち着かないという可能性はありませんか?もし、そうなら一時的に(雌犬をトイレに連れて行っている間だけでも)雄犬を雌犬用のトイレの場所に立ち入れないようにしてみるもの一つです。

また、トイレ用サークルを利用し、オシッコをこのサークル内でするようにしていくのも良いかもしれません。排泄したそうな姿を見せたら、サークル内に入れて排泄させてみましょう。中々排泄しないようであれば、軽く一緒に遊んだ後に再度挑戦してみると良いですよ。
また、基本の基本なのですが、トイレは常に清潔にしておき、排泄したらすぐに片付けるようにしましょう。

2. できたら褒める、失敗したら無視して片付ける
1年も一緒に暮らしていると、ついつい『褒める』をなおざりにしてしまっているということはありませんか?
愛犬は飼い主に褒められること、構ってもらえることが何よりも嬉しいもの。ウンチでもオシッコでも、うまくトイレで排泄できたらおもいっきり手放しで褒めてあげましょう。もし、トイレを新たに設置したのであれば、その場所に自主的に入っただけでも褒めてあげることも大切です。

失敗しても叱ってはいけません。もちろん、声を掛けたり撫でたりするのもダメですよ。オシッコやウンチをした事を叱られてしまうと、オシッコやウンチ自体が叱られることと思ってしまう事があり、隠れて排泄をするようになってしまうかもしれません。また、飼い主の方自体に恐怖感を持ってしまうこともありますので、叱らないようにしましょう。また、叱るためでも、落ち込んでしまったためでも、どのような声でも声を掛けたりすると、褒めてもらった、構ってもらったと勘違いしてしまうこともありますからご注意ください。

とはいえ、粗相の痕を見つけると、イライラもしてしまいますよね。そんな時は深呼吸して愛犬の可愛い姿を思い返してみましょう。意外と落ち着いてくるかもしれませんよ。
飼い主の方がイライラしたり、ブルーになったりすると、それが犬に影響し、犬がストレスを感じて様々な場所に粗相をしだすこともあります。『今はしつけ中、失敗しても当たり前、うまく行ったらすごいこと!』と思って根気良く気長にしつけていきましょう。

また、失敗の痕はよく拭き取って、臭いが残らないようにしましょう。臭いが引き金となって同じ場所にオシッコをしてしまうことがあります。脱臭作用のあるような住居用洗剤をつかって粗相の痕を拭き取り、その後は洗剤を拭き取るために数回水拭きをしておきましょう。

3. 号令で排泄の習慣をつけてみるのも
将来的なこと(旅行や長時間の外出など)も考えて、号令をかけて排泄できるようにする、という訓練をしてみるのもいいですね。まずは、トイレを覚えさせる事が第一ですが、それに合わせてそっと号令をかけていくようにされると、いつの間にか号令で排泄をするということを覚えるようになるかもしれません。
トイレトレーニング、気長に根気のいる訓練ですが、工夫次第で楽しく訓練できるものです。どうぞ、頑張ってください。

また、一人で悩んでいて壁に突き当たってしまう、というような場合にはお近くの動物病院でされている『しつけ教室』に気分転換に通ってみられたり、ご相談してみられるのも良いでしょう。そこではご質問者の方にあった、様々なアドバイスが得られるかもしれませんよ。

最後になりましたが、最初の子と次の子は同じ犬種であっても同じ性質を持つとは限りません。女の子と男の子でも違いますし、第一子と第二子では飼い主の方の心がまえや接し方も変わってくるものです。どうぞ、基本は基本としつつ、それぞれの子の個性を生かしたしつけ方の工夫を行っていってみてください。