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Q&A

猫の皮膚石灰沈着症について

5歳の雄猫、雑種の白猫です。
3年前に首筋に発症し、手術で患部を切除し22針も縫いました。病理検査で、猫には非常に珍しい「皮膚石灰沈着症」と診断されました。
副腎皮質の機能亢進時に希に起こるということですが、根本原因は不明です。
一昨日、その時とよく似た症状で、耳の下のところに6mmほどの赤いものができ、周囲1.5cmほど毛が抜けているのに気づきました。
病院では、単なる傷かもしれないので抗生物質で様子をみる、できれば手術は避けたいが、石灰沈着だった場合、治療法は切除以外わからないと言われました。ネット検索で色々調べてみましたが、猫には発症例がないと書かれているところもあり、不思議に思っています。
治療法について、何かご存知の方がいらっしゃったら情報をいただけないでしょうか。

 皮膚石灰沈着症は、犬では副腎皮質機能亢進症の時にみられることがある症状ですが、猫の場合ではこの確認はなされていません。
 猫での石灰沈着症はごく少数ですが報告があります。
 上皮小体機能の亢進症時には体のいたるところに石灰化がみられることがあります。
腎不全時には体内のカルシウムやリンの比率に異常が生じ、それが原因となって四肢末端で石灰化が起こることが報告されています。
食事で考えていくと、脂溶性ビタミンであるビタミンAやビタミンDの過剰摂取時にも石灰化が起こることがあります。
これ以外に、皮膚の腫瘍に伴い、その周囲に石灰化が生じるということもあります。また、医原性の原因として、ホルモン剤注射によって注射部位の周囲一部分に石灰化が起こったという報告があります。
 
 まず、全身の状態、今までの食事内容の見直し、体内のカルシウムやリンの比率、あるいは腎不全の有無などを確認し、異常があればその改善・治療を行うようにしましょう。
 また、再度の石灰化と以前の石灰化の原因が異なる、ということも考えられます。
このため、今回の石灰化部分も切除し病理組織学的検査にだすことをお勧め致します。年齢から考えて腫瘍が原因となって石灰化が生じている可能性もあるからです。

いけやん様のご質問は「治療法を」、となっていましたが、原因が様々に考えられそれに応じて治療法が異なりますので、まず原因の可能性を書かせていただきました。
詳しい治療法・ご説明についてはかかりつけの動物病院・獣医師にご相談をお願いいたします。