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Q&A

ノミ・ダニの駆除薬について

もうすぐ、ノミ・ダニがよくでてくる季節ですね。
家のコーギーもよく公園でお散歩などをするのですが、その時々ノミ・ダニがついてしまうことがあるのでよくチェックしています。
その季節になると、動物病院ではフィラリアがはじまりますよね。それと同時にいつも、ノミダニ駆除のお薬も(液体のような)もらいます。
市販や、ペットショップなどで売っている薬と動物病院との違いはやはり何かあるのでしょうか?

 面白いもので、啓蟄を過ぎると虫が出始め、どんどん活発になってきます。
虫が卵から孵化、あるいは蛹から孵化するには気温などが関係してくるため、暖かくなってくると、お散歩に行く子の場合ではノミやダニの予防が必要となってきます。

 ペットショップと動物病院で取り扱っているノミやマダニ予防の薬の差なのですが、まず動物病院で主に取り扱っているのは『動物用医薬品』になります。  
動物用医薬品は獣医師の資格が無いと取り扱いができません。動物用医薬品はその『効果』、『品質』、『安全性』だけでなく、『副作用』などについて農林水産省の定めた規格にそった膨大な試験を行い、この結果が審査され、承認を受けたものです。農林水産省の厳格な審査を通って、初めて動物達に使用されている薬剤となります。

 また、動物用医薬品は承認を受けた後も、副作用などについての情報が農林水産省に寄せられ、それが公表されているため、常にこれらに関しての様々な情報を得ることができ、獣医師も素早く対処することができるようになっています。
市販薬(医薬部外品)はこの承認を得ていないもの、となります。動物用の市販薬に使用されている成分は動物用医薬品と同じようなものが含まれている場合がありますが、その濃度や構成成分の組み合わせに差があり、作用が緩やかなものとなっています。例えば濃度が低く、作用持続時間が少なかったり、効果が低かったり、ということになります。

 ノミやダニ(マダニ)は、動物に痒みをもたらしたり、皮膚を傷つけたりする外部寄生虫(動物の体の表面に寄生する寄生虫のこと)ですが、ノミやマダニが寄生することによって、様々な別の病原菌が媒介されることがあります。例えば、ノミであれば瓜実条虫というお腹に寄生する寄生虫が媒介されることがありますし、マダニであれば、バベシアという赤血球を壊して貧血を起こしてしまう寄生虫を媒介することがあります。バベシアという寄生虫は命に関わってくることがあるため、予防できる外部寄生虫の予防はしっかり行うようにしましょう。