健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

Q&A

歯石について教えてください

家の犬は、上の歯が凄い歯石がたくさんあるんですが、取れるんでしょうか?みなさんは、お手入れとかされてるんですか?よければ、教えてください。

 歯石は愛犬が食べたご飯のカスと口の中の細菌が混ざり合って作り出したものです。このため、歯石の周囲の歯茎は細菌や細菌の出す毒素でダメージを受けてしまい、歯周病を引き起こしてしまいます。また、細菌が歯の根元までいってしまうと、歯が抜けてしまうだけでなく、歯の根元が腐ってそこに膿がたまり顔面が腫れてしまったり、酷くなると眼の下の方に穴があき、そこから膿がでたりということにもなりかねません。
歯石は石のように硬いため、歯磨き程度では取り除くことはできません。また、目に見える部分の歯石をなんとか手で取り除いたとしても歯と歯茎の間の部分まで歯石が溜まっていることがあるため、そこからまたすぐに歯石がどんどん大きくなってしまいます。このため、歯石があれば、動物病院で歯の表面だけでなく歯と歯茎の間の歯石を除去してもらうと同時に歯周病の治療も受けるようにしましょう。
しかし、歯石の除去をしっかり行っても日常のお手入れをしなければ、再び歯石はたまってきます。人間と同じように毎日の歯磨きの習慣をつけるようにしましょう。

~歯磨きの方法~
ドクターズアドバイスに写真入で載っています。参考になさってください。
1.愛犬に口の周りになれてもらうことから始めます。機嫌の良いときや少し眠そうな時に口の周りをそっと撫で、これに慣れてくれば円を描くように優しく撫で、さらに唇をめくり上げてみましょう。短時間から始め、できたら褒めてあげるようにします。

2. 1のステップが終われば、指や歯ブラシを口に入れることに慣れさせます。少しずつ徐々に慣れさせていくために、まずは口を閉じた状態で唇をめくり上げ、前歯(切歯や犬歯)だけを磨きます。塗らしたガーゼを指に巻き、それで前歯の表面を軽く撫でるようにします。もしくは、それぞれの口の大きさにあった動物用歯ブラシで軽く撫でるようにしましょう。

☆1や2のステップを行った後は必ず一緒に遊んだり、褒めたりして、愛犬が嬉しいことと結びつけるようにしましょう。
☆歯ブラシを使う場合はペンを持つように歯ブラシを持ちます。そして、歯に歯ブラシを押し付けるのではなく、歯ブラシの毛先が歯の表面を撫でるようにして動かしていきます。

3.2のステップを数日続け、これに慣れてきたら今度は更に唇をめくり、奥の歯(臼歯)も前歯と一緒に磨くようにします。歯と歯茎の境の部分をよく磨くようにしましょう。歯ブラシを使う場合には、歯の表面と歯ブラシが45度の角度を保つようにし、左右に細かく歯ブラシを動かすと良いでしょう。  
 歯ブラシの毛先が曲がったりしない程度の強さでそっと磨くようにします。休みながらでも何回かに分けてでも良いので、全ての歯の表面をブラッシングするようにします。
☆歯ブラシの基本は歯の表面についたプラークを取り除くことです。慣れてきたら一本一本の歯をしっかりと磨くよう心がけてください。

4.3のステップに愛犬がなれたら、口を大きくあけて歯の裏側を磨くようにしてみましょう。

 歯磨きは一日一回でも、難しいなら2~3日に一回でも、とにかく定期的に行い、日々のお手入れの一つと習慣付けていくと良いでしょう。
 歯磨き粉を使う場合は必ず動物専用のものを使用します。人間用の歯磨き粉は飲み込むのではなく、うがいをして、吐き出すことを前提としています(=食用ではありません)。しかし、犬にうがいをさせることは難しいので、人間用の歯磨き粉は絶対に使わないようにしましょう。