健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

愛犬相談室 No.4「トイレの悩み」

ケース5、成犬のトイレのしつけ直し

Question

6歳のラブラドールです。飼い始めたころには室内でトイレシーツを使っていましたが、最近は外で排泄する習慣がついてしまいました。犬の飼い主さんの友だち同士で話を聞くと、高齢犬になったとき室内でトイレができないと困ると聞きました。今からしつけ直しはできますか?

Answer

 元気で動き回っているときには考えも及びませんが、6歳を過ぎたらそろそろ気にかけておきたいのが高齢犬対策。犬の大きさや住まい、家族構成によって違いがあるものの、一般的に大型犬の介護となるとトイレ問題が肝心です。外でしかできない場合、どんなに歩行が困難になっても家の外へ出たがりますし、世話をする飼い主も30kg以上の犬を抱いて出るのは重労働。7~8歳からでも遅くありませんので、室内でもトイレができるようにしつけ直すことをおすすめします。

 まず外で排泄するときに「オシッコ、ワンツー、ワンツー」などとトイレ用に決めた号令をかけます。排泄後にはおやつやフードのごほうびを与えてほめてあげます。次に、散歩にトイレシーツを持参し、犬がもよおしたらすばやくトイレシーツを敷いて、その上でさせるようにします。
 しばらく続けて慣れてきたら、玄関口にトイレシーツを敷き、散歩に出かける前に「オシッコ、ワンツー、ワンツー」と言いながら誘導してみましょう。トイレシーツでオシッコをしたら、ごほうびとして散歩に出るようにします。もしできない場合は、いったん部屋に戻り、仕切り直して再チャレンンジします。
 小型犬の場合は、広くて浅い植木鉢に土を入れたり、トイレシーツの上に人工芝を敷くなど、外の環境を内に再現してあげるのもいいでしょう。

 トイレシーツなどを置く場所は必ずしも玄関口でなくてもかまいません。子犬のトイレのしつけ同様、リビングのドアのそば、窓の下など外を感じられ、静かで落ち着いていて、すぐにほめられる場所がベストです。散歩以外のときにも、トイレシーツの上でできたときにはごほうびを与え、家の中でトイレをするといいことがあると覚えさせていきます。

 高齢犬問題がなければ外での排泄が必ずしもいけないわけではありません。旅行先やドッグカフェなど、外に犬用のトイレが造られている場合もあります。要は外でも、室内でも臨機応変に対応できるのが理想です。



ケース6、食糞をやめさせたい

Question

うちの犬は自分の糞を食べてしまうことがあり、びっくりしています。なんとかやめさせたいのですが、どうように対処すればいいでしょう?

Answer

 犬の食糞は自分の臭いを隠す野生の習性の名残りだといわれています。子犬のときであればそれほど珍しいことではなく、通常いつのまにかやめてしまうことが多いものです。しかし成犬になっても続くようなら、いくつかの理由が考えられます。

 まず考えられる理由は飼い主の気を引きたいから。もしあなたが食糞を発見したときキャーキャー騒いでいるようなら、その可能性大です。人間の過剰反応を犬が喜んでいるのかもしれません。慌てたり、騒いだりしないことが肝心。犬が糞をしたら無言でさっさと片付けます。ただし、その姿を犬に見せては逆効果なので、なるべく犬が気付かないうちに済ませましょう。

 留守番中などに、退屈して糞で遊んでしまうような場合は、退屈しのぎにピーナツバターを塗ったコングなどを与えてみましよう。
 また、酵素不足などの理由で糞を食べることもあります。気になるようなら獣医さんと相談し、タンパク質分解作用のあるサプリメントを利用してみるのもいいでしょう。一説にはサプリメントで食糞の約50%程度は改善するともいわれています。
 いずれにしろ、人間が思っているほど驚くことではありませんので、落ち着いて対処することをおすすめします。



ケース7、「うれション」を直すには

Question

留守番をさせていて私が帰宅したとき、決まって「うれション」をしてしまいます。主人が先に帰ったときにはそんなことはありません。私の方が好かれているからでしょうか?

Answer

 人によって違うのは、帰ってきたときの態度の違いによるものでしょう。あなたは玄関に入ったとたん、健気に留守番をしていた犬を見て「お待たせ~!今帰ってきたよ。偉かったねえ、寂しかったかな」などと抱きしめたり大きな声で話しかけたりはしていませんか。それが犬の興奮を誘発し、お漏らしにつながっていると考えられます。

 これが習慣化しないようにしたいもの。そのためには帰ったとき、落ち着くまで犬に構わないでおくことです。しばらく時間が経ってから「帰ってきたときに静かで偉かったね」とほめてごほうびを与えます。出入りの回数を増やし、普段からトレーニングしておくといいでしょう。

 また、留守番をさせる前にはトイレを済ませておくことも忘れずに。そして、出かけるときにも帰ったときと同様に、あまり騒がず、さっと出かけるようにしましょう。




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