健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

愛犬相談室 No.4「トイレの悩み」

QアンドA ケース別にお答えします。愛犬相談室、指導、ドッグトレーニングインストラクター、中塚圭子
No.4、トイレの悩み

ケース1、トイレのしつけの基本

Question

念願の子犬を飼い始めましたが、トイレのしつけがうまくいきません。どうすれば上手にしつけられるでしょうか?

Answer

 まずは子犬をよく観察し、排泄のタイミングをつかむことから始めましょう。そのためには「トイレしたとき日記」を付けるのがおすすめです。食事の時間を決め、排泄した時間、場所、前後にどんな行動をしたかなどを毎回チェックします。こうすると一見無造作に見えていたトイレ行動にも共通点が見えてきます。起きた直後や遊んだ後、食事の後など、1週間も続けると傾向がわかってくるはずです。

 タイミングがつかめたら、そろそろだと思うころには子犬から目を離さないようにしましょう。ソワソワして臭いをかいだり落ち着きがなくなってきたらもよおしてきたサインです。すぐにトイレシーツの上に載せ、上手にできたら「えらいね」と言ってほめてあげます。また、用を足している最中に「オシッコ、ワンツー、ワンツー」とやさしくかけ声をかけてあげるようにすると、号令=トイレと覚えられます。この習慣がつけば、将来、排泄をコントロールすることに役立ちます。

図 トイレの場所を覚えさせるためには、居場所作りを兼ねてサークルを活用しましょう。なるべくみんなの視線が集まらない静かで落ち着いた場所を選び、長方形のサークルの奥(より静かな側)にトイレを置き、中央にスペースを空けて反対側に寝床をつくります(右図参照)。犬は寝床を汚したくないため、本能的にトイレで排泄することを覚えるようになります。

 サークルを使わない場合は、室内の数ヵ所に多めにトイレシーツを敷いておきます。そのうちにする場所としない場所が出てきますので、しなかった場所のシーツを取り去っていけば、おのずと残った場所がトイレの位置になります。はじめから1ヵ所にしようと思わず、2~3ヵ所用意するくらいのつもりで。経験上、窓やドアの近くなど、外の気配を感じられる場所を好む傾向があるようです。いずれの場合も、トイレシーツは汚れたら早めに取り替えること。犬によっては1回だけしたらもう同じシーツではしないこともあります。

 もう一つ肝心なことは、もし失敗しても大声を出して慌てたり、犬を叱ったりしないことです。排泄自体をしてはいけないと思い、飼い主に隠れてするようになるケースもあります。何ごともなかったかのように、消臭スプレーやトイレシーツなどを使って手早く片付けましょう。

ケース2、トイレシーツを噛みちぎる

Question

そろそろ6ヵ月になりますが、トイレで用を足せるようになってきたものの、ちょっと目を離すとトイレシーツを噛みちぎってグチャグチャにしてしまうことがあります。なんとかならないでしょうか?

Answer

 子犬にありがちな悩みです。なんでも噛みたくなるころですから、単にトイレシーツで遊んでいるだけかもしれませんが、食べてしまわないように注意は必要です。
 飽きるまで静観しておくのも手ですが、実際はそうも言っていられませんね。市販のグッズを利用して対処することを考えてみましょう。

 まず、噛んだら嫌な味がすることを覚えさせるため、トイレシーツの周囲に苦味スプレーを吹き付けてみます。それでもやめなければ、シーツの上を細いバーベキュー網のようなワイヤーガードで覆って固定したり、シーツがむき出しになっていない、すのこタイプのトイレに替えてみることをおすすめします。
 外出などでやむを得ず長時間トイレシーツを取り替えられない場合は、布製シーツをセットしておきます。これなら紙製と違って噛みちぎりにくいので安心です。

 一般的に成犬になるころにはしなくなりますが、いつまでも直らない場合、原因は飼い主さんにある場合も少なくありません。いちばんNGは飼い主が犬に向かって「わぁ~!何やってるの、そんなことしたらダメでしょ!」などと大きな声を出して、バタバタと慌ててしまうこと。その様子を見た飼い主に喜んでもらっているのだと勘違いしてうれしくなり、どんどん行為がエスカレートしていくのです。好ましくないことが起こったときほど、落ち着いた態度で臨みましょう。

トイレチェック


前のページへ 1/3 次のページへ