健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

秋から冬の健康管理

しんのすけ&ミーコ+コテツの秋から冬の健康管理 先生、どんなこと気を付ければいいですか? 編

しんのすけ
雄でMIXの8歳。
ひとなつっこい性格でご近所の人気者。飼い主はおじいちゃん、おばあちゃんご夫婦です。
ミーコ
今年で10歳になる雌の日本猫。若いご夫婦が飼い主さん。避妊手術も済ませて、子猫の時からずっと室内飼いです。
コテツ
しんのすけの新しい友達のビーグル。
今2歳だけど、まだまだやんちゃ。よろしくね。
今年の夏は過ごしやすい日も多くて助かったけど、やっぱり暑いのは苦手だよ。
そうね。しんのすけ君もコテツ君も夏は苦手だものね。最近は調子どうなの?
うん、散歩も楽しいし、食べものもおいしいよ。
ボクもそうだよ。ついつい散歩の時間も長くなっちゃうんだ。
でも、これから寒くなってくるんだよね。
それじゃ、先生、寒い季節でも元気に過ごせる方法、お教えてください!
よろしくお願いしま~す。

愛犬・愛猫の健康チェックは済みましたか?

みなさんは、この夏、元気に過ごせましたか?暑さで食欲が落ちてしまったり、 体調を崩したりしませんでしたか?
 私たちも厳しい暑さが続くと、体の調子を崩してしまうことがありますが、犬や猫たちも少なからすダメージを受けていることがあります。
 皮膚や毛の様子はどうですか?痒がったり、毛が抜けていたりしていませんか?また、皮膚や被毛だけでなく、体の内部の変化にも注意し、食欲や便の状態、散歩の様子もみておいてください。
 普段から、飼い主自身で愛犬・愛猫の様子を観察する習慣を持っていれば、ちょっとした変化もすぐに気がつくようになります。特に高齢の場合(目安としては6~7歳を超えた犬・猫)や慢性疾患をもっている時は十分に注意してあげましょう。また、「病気の早期発見チェックリスト」を紹介していますので、寒い冬を迎える前に、愛犬・愛猫の健康チェックをお願いします。
 季節は秋から冬へと移っていきます。今回は、冬の季節を快適に過ごすための健康管理や事故を防ぐための暮らしの工夫についてお話をしましょう。

温度の変化に気をつけて

急激な冷え込みなど寒暖の差が大きいと、特に注意が必要です。(*慢性の心不全をもつ犬の場合はセキが激しくなったり、時には肺水腫をおこしやすくなることもあります)外で飼っている場合なら、玄関に入れるなどもよい方法です。犬小屋・寝床の掃除や虫干しも比較的暖かい日を選んで、忘れずにしておきましょう。また、屋外に犬小屋や寝床を用意している場合は日当たりの良い場所に移動したり、入り口を仕切りで覆ったりして、冷たい風や雪がふきこまない工夫をしておきましょう。古くなった毛布や敷物などを、咬んでしまったり、かじって飲み込んだりしないようであれば、犬小屋の中に入れてあげてください。
 室内で飼われている場合も、エアコンや暖房器具の温度調節には注意しましょう。暖房を切った夜間との温度差が大きいと、ストレスの原因にもなりますし、散歩などで屋外に出たときの極端な温度差もよくありません。高齢の犬や猫、あるいは、慢性の疾患をもつ場合は、特に注意が必要です。

部屋の中は暖かいけど、外(特に夜は)は寒いからね。うちのおじいちゃんも気をつけているよ。家の中ではあまり厚着しないで、暖房も効きすぎないように調整しているもの。それと、散歩から戻ったら手を洗ったりうがいを忘れずにしているよ。おじいちゃんも「力ゼ」をひいたりしないように予防しているんだね。
 「犬は寒さに強い!」っていうけれど、ブルブル震えるような寒い夜はつらいものね。暖かい寝床のほうがいいものね。ちょっとした工夫で、ぐっと快適になるよ。

ウイルスによる伝染病が増える時期です。

冬は気温の低下や空気の乾燥などにより、人間も動物たちも病気に対する抵抗力が低下します。ここ数年、私たち人間も、この季節になるとインフルエンザが流行していますが、犬や猫たちも体調を崩しやすく、ウイルスによる伝染病には気をつける必要があります。
 特に、初めて冬を迎える子犬や子猫たちは、病気に対する抵抗力が十分にできていません。十分に注意してください。
あのチクッてする「ワクチンチュウシャ」ってやつだね。ボクは春にしてもらったよ。おとうさんに連れていってもらったんだ。やっぱり病気、嫌だもんね。

犬フィラリア症

犬フィラリア症は、蚊を伝染媒体にしていますが、秋の涼しい時期になり、蚊が見られなくなっても、最低1~2力月の間は、継続して予防をしておいてください。
予防薬は毎月1回飲ませるものが主流ですが、最近ではスポットタイプ(滴下式)のものや注射による予防薬も用意されています。いずれも獣医師とよく相談し、しっかり予防をしておいてください。適切な回数と期間、予防をおこなうことで、ほぼ完璧に犬フィラリア症は防ぐこと ができます。
ボクもこの病気、知ってるよ。心臓の中で細長い虫がどんどん増えていっちゃう病気なんだよね。そんな病気にかかったりしないようにちゃんと予防しておこうね。

ノミは通年の予防と対策を

ノミは春や夏の暖かい時期だけ気をつけていればいいと思いがちですが、住環境の変化もあり、通年の予防と対策がノミには効果的です。
 成虫が見られない時期であっても、家の中ではペットの周囲で卵やさなぎの状態で過ごしていますので、成虫を駆除するだけでなく、獣医師とよく相談して総合的な予防をお願いします。
私、小さいときはノミのせいでひどい目に遭っていたのよ。でも今は、おかあさんがちゃんと予防してくれているから安心だわ。

トイレ

冬は暖房を入れるため、部屋を閉め切ってしまいがちです。室内飼いの猫ですと、トイレを別の部屋や違う場所に用意している時など、「トイレに行きたいのに行けない!」状態にならないように気をつけましょう。
 膀胱炎や不適切な排泄行動の原因になりますし、雄猫の場合は、尿道がつまってしまいおしっこが出なくなってしまうこともあります。
 猫がトイレに行きたい時に行けるよう、暖房中の部屋でもドアは少しすき間を開けておくなどの工夫をしておきましょう。
 また、冬の季節でも、新鮮な水はいつでも飲めるよう用意しておきましょう。飲水量の不足も、膀胱炎など泌尿器系の病気の原因になります。
 愛猫のおしっこの状態にも気をつけてみておいてくださいね。
参考→猫チャンのおしっこチェックしてますか

おかあさんが家にいる時は、「ドア、開けて」ってお願いできるんだけど、私ひとりでお留守番する時、お部屋の中から出られなくなってしまうことがあるのよ。すこしくらいなら我慢もできるんだけど……。でもみんな「トイレくらいで」なんて思っていない?ホント私たちにとっては大変なことなんだから。

散歩

状態や年齢に応じた適切な運動は欠かさないように。「寒いから散歩はお休み」はいけませんよ。飼い主さんも寒さに負けないよう、十分に準備して散歩にでかけてください。
 また、冬の時期は日が短くなります。暗い夜間の散歩にも気をつけてください。自動車からは小さな犬や猫は見つけにくく、交通事故の危険も高くなりますので、どんな時も、必ずリードでしっかりつないで出かけましょう。放し飼いは絶対にだめですよ。
最近は暗くなるのが早いよね。夕方のお散歩の時も、お母さん自動車には気をつけてくれてるよ。夕方が一番ボクたちが見えにくい危険な時間帯なんだって。だから、お母さんのそばを離れないように歩いているんだ。寒くなるけど毎日お散歩連れていってね。

事故に注意!

風呂場やストーブ
猫はあったかい場所が大好きです。風呂場の風呂ぶたの上がお気に入りの猫も多いようですが、誤って熱い湯の中に落ちてしまい、ヤケドを負ったり、おぼれてしまったりすることのないように。
 また、部屋の中でも、電気のコードを引っかけてストーブを倒したり、熱くなった所に触れてしまう、何かの拍子に、ストーブの上のやかんやなべを倒してしまう、といった事故にも気をつけましょう。
 燃えやすい布製のおもちゃなどくわえて遊んでいた時に、ストーブの近くで放してしまったりして、「危うく火事に」ということにもなりかねません。やんちゃな子犬や子猫がいる場合や、一緒にそばにいることができないときは、ケージやサークルに入れておくようにしましょう。
私も暖かい場所は大好き。ストーブやこたつは手離せないもの。でも、とても危ないものなのね。気をつけなくっちゃいけないわ。
あ、そうか。「ケージの中で待っててね」ていう時があるけど、万が一のことがないようにって、いうことなんだね。
誤飲による事故・感電
ガーデニングブームもあり、色々な観葉植物を置いて部屋のインテリアを工夫されている家庭も多いことと思います。しかし、観葉植物の中にも間違って口にすると中毒をおこすものがあります。
 中毒のおそれのある観葉植物としては、ポインセチア、ジャスミン、アジサイ、アサガオ、アマリリス、アボカド、ヒヤシンス、シクラメンなどがあります。
 その他にも、ビニール、サランラップ、ストッキング、ボタン、針や糸などの日用品や、たばこ(たばこの吸い殻)、殺虫剤、ノミ駆除剤、ホウ酸団子、ナフタリン、除草剤、漂白剤、ナメクジ駆除剤など、間違って口にすると、大変危険なものが私たちの暮らしの中には多くあります。
 猫も毛づくろいの時など、体についたもの誤ってをなめてしまうことがありますので、ちょっとした不注意で事故がおきてしまわないように気をつけましょう。
 また、何でもおもちゃにしてしまう子犬・子猫には要注意!電気のコードやコンセントをかじって壊してしまい、感電事故を招いてしまうこともあります。

食事

食事も年齢や状態に応じてカロリーや量を考え、バランスよく与えるようにしましょう。(寒さは、体内のカロリーを消耗します。)
 人間の食べ物、お菓子類は安易に与えたりしないでください。ついつい「これくらいなら・・・」と与えてしまいがちですが、栄養の面でもしつけの点でもよくありません。 もちろん食べ過ぎ(与え過ぎ)にも気をつけましょう。
食欲の秋、でも食べ過ぎちゃダメ!
しんのすけ君もコテツ君も、食欲が戻ってきたからって、あまり食べ過ぎちゃダメよ。太っちゃうわよ。
大丈夫。だって、ごはんはいつも同じだけしかもらわないし(ボクのお茶碗にちょうど一杯なんだ)、それに、運動不足にならないよう、おじいちゃんが毎日欠かさず、散歩に連れていってくれるからバッチリさ。
楽しそうね。私はほとんど外に出ないから、運動不足にならないように気をつけなくっちゃ。
 おかあさんがいない時は、窓から外を見ながら日光浴したり、お気に入りの場所でお昼寝でしょ。あとは部屋のおもちゃで遊んだり、毛繕いしたり。おかあさんが帰ってきたら、ちょっと甘えて遊んでもらうわ。
 私もごはんを用意してくれるのは、いつもおかあさん。だから、ちゃんと太ったりしないよう気をつけてくれているみたい。わたしたちの食べるものはおかあさんやおじいちゃんたち飼い主さん次第だものね。私も、もうおばあちゃん。おいしいものは大好きだけど、おなかいっぱいに食べることより、「体にいいもの」が一番よね。
気をつけないといけないこと、いろいろあるんだね。
そうよ。みんなも病気や事故に気をつけて寒い季節も元気に過ごしてね。

年末・年始は動物病院の診察日をチェック!
年末・年始は休診になったり、診察時間が変更になる動物病院が多くなります。休診中にあわてたりすることのないよう、あらかじめ年末年始の予定を聞いておきましょう。
 気になることや心配に思うようなことがあるなら早めに診察を受けてください。
 また、愛犬・愛猫を一時的に預ける予定がある場合も、早めに準備してきましょう。