健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

犬と遊ぼう 注意事項

柿沼ペット病院 柿沼 綾子先生

せっかく縁あって犬と一緒に暮らし始めたのならば、犬のいる生活を120%楽しみたいものです。

よく手入れされた幸せそうな犬が小奇麗な庭や部屋の中にいるのは、見ているだけでとても気分が良いものです。

でも、忘れてならないのは、犬というのはインテリアでなく、かなり高度な知的生命体だということです。

人間もそうですが、考えることのできる動物というのは、ただ清潔な環境とバランスのとれた食事があるだけでは満足しません。遊ぶことができなかったら、心と身体の健康を失ってしまうのです。

十分に遊んでもらえない犬たちは退屈からくるイライラを何とか癒そうと、いろんな遊びを考え出します。そのほとんどは、家の前を通る猫や飛んでいるすずめに吠え続けたり、家具をかじったり、庭に穴を掘ったり、自分の足を炎症が起きるまで舐めたりと、人間にとって不都合なことばかりです。

犬が困ったひとり遊びを考え出す前に、犬と人が一緒に楽しめる遊びをたくさん教えてあげましょう。きっと犬のためだけではなく、人の心と身体の健康にも良い影響を与えるはずです。

犬と人の遊びというのは、無限に考え出せます。でも、その中には飼い主さんとの絆をいっそう強くするような良い遊びもあれば、犬の物欲や狩猟本能を刺激してしまうもの、周囲の人の迷惑になってしまうものもあります。遊びの種類や方法、遊ぶ場所によって、犬が素直になって落ち着き、みんなの人気者になったり、逆に興奮しやすく独占欲が強くなってしまい、近所の人に嫌がられたり、と様々です。

遊びを始める前にちょっとだけ注意事項

まず、どんな時でも犬のそばにいる人たちは楽しそうにしていましょう。遊びなのですから、人も犬も楽しめなくてはなりません。犬が楽しくなるよう陽気にはしゃいで、ご褒美の食べ物も盛大に上げましょう。犬の太りすぎが気になるならば、毎日食べるドッグフードの量の中から、先にひとつかみほどとって、それをご褒美にしましょう。

「犬をエサで釣るなんて嫌だ」なんて堅いことはいいっこなしです。私たちがゲームをする時だって、何か商品があったほうがずっと一生懸命になるでしょう。

人と犬が一緒に楽しいことをするのです。

間違っても犬をからかったり、犬が痛みを感じることはしないで下さい。そして、犬の安全を常に第一に考えてください。せっかく遊ぶのですから、本当はわずらわしい引き綱から、犬を開放してあげたいものです。

何の束縛もなく動き回れる状態は、犬が自分で考えて判断する能力を伸ばします。でも、同時にこれは十分しつけられていない犬にとっては、とても危険なことです。

室内、またはしっかり囲いのあるプライベートな場所で犬と遊ぶなら、なるべく犬を自由にしてあげましょう。戸外で遊ぶときは、けして犬を完全に自由にはしないでください。一番良いのは、腰のベルトにフレキシブルリードをくくりつけておくことです。これなら犬はかなりの距離を自由に動き回れます。