「しつけの時、おやつや食べ物を使うのは、物で釣るみたいで抵抗がある」と思われる方が意外に多いようです。しかし、好みの食べ物を上手に使うと、かなり効果的に教えることができます。
では、あなた自身が「犬」になった立場で考えてみましょう。
例えば、飼い主がオイデを教えようと、大きな声で何度も「オイデ」と言っても、犬(あなた)は言葉の意味もわからず、どうすればよいのかも知りません。「大きな声で何を言っているのだろう?」と不思議に思うだけでしょう。
でも、「飼い主のところに行くと、うれしいことがおきた(=食べ物がもらえた!)」
としたらどうですか?
「飼い主のところに行ったら、おやつがもらえたぞ。うれしいな」と思うはずです。
「オイデ」が「こっちに来なさい」という意味であることを理解したわけではありませんが、「『オイデ』と聞こえたら、おやつがもらえる、早く行かなきゃ」と覚えることができれば、それでほぼマスターしたことになります。
それでは「いつもおやつを食べさせないといけないじゃないか」と思われるかもしれませんが、心配はいりません。
何度も繰り返し行っていくと、
「『オイデ』が聞こえた→おやつがもらえるぞ→早く行かなきゃ」
という関係がより強くなっていきます。
そうなると 「おやつがもらえる」部分だけを徐々に減らしていっても一度覚えた、
「『オイデ』→早く行かなきゃ」
の関係が消えることはありません。
逆に「オイデ」の言葉で近づいた犬に「どうして早く来ないの」と叱ったり、叩いたりすると、
「飼い主のところに行くと、嫌なことがおきた(=叩かれた、痛い思いをした!)」となってしまい、
「飼い主のところに行ったら、痛い思いをするぞ。近寄ったらダメだぞ」
という、飼い主の「オイデ」の意味とは全く逆の結果になってしまいます。(心当たりはありませんか?)
言葉の意味を知らない犬に対して、言葉の合図を用いて何か教えようとするとき、その合図の言葉と行動を結びつける「もの」が必要になります。
それは犬にとって嬉しいもの(嬉しいこと)や楽しいもの(楽しいこと)であり、具体的には好物のおやつやフード、飼い主がヨシヨシと大げさなくらいほめてあげる行為、キューキューと音の出るオモチャなどになります。
最初はなかなか難しいと思いますが、コツをつかめばおもしろいように色々教えることがでます。
「どうして上手く行かないのだろう・・・」とスランプになった時は、自分自身が犬になったつもりで、犬の立場で考えてみましょう。