健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

海外への出国、入国について

 外国へ愛犬を連れていくときは日本を出るための条件と、訪問先の国へ入るための二つの条件をクリアする必要があります。

何の準備もせず、いきなり空港へ行っても、手荷物を持ち込むように、そのまま愛犬と一緒に飛行機に乗って外国へ行くことはできません。また、帰国するときも、いろいろな準備や手続きが必要となります。

ですから、たとえ短期間の旅行であっても、簡単に『犬と一緒に海外旅行』というわけにはいきません。

 今回はゴールデンウイークを利用した長期旅行に愛犬を連れて行きたい、仕事の関係などで海外に長期滞在をする、などといったケースで愛犬を連れて出国される方、逆に長期間海外で生活されていた方が愛犬と一緒に日本へ帰国される場合に役立つ出入国に関する注意事項をご紹介します。

CHECK 日本を出国するための条件

 狂犬病の予防注射を接種してから30日以上経過、1年以内の期間であることがまず条件になります。この場合、狂犬病の予防接種をした獣医師の発行する狂犬病予防注射済証が必要です。また、出国の時点で、生後90日を超えていない子犬は狂犬病の予防接種をしていなくても出国は可能ですが、この場合も、獣医師の発行する出生証明書などその子犬の生年月日が確認できる書類が必要になります。

こうした書類は出国の当日、動物検疫所で提出の必要があります。

CHECK 相手の国に入るための条件

 相手国の入国の条件は国により異なります。事前に日本国内にある大使館や相手国の検疫当局などで十分に確認して下さい。

以下の国への入国条件は、それぞれの国からあらかじめ通知を受けていますので、最寄りの日本国動物検疫所にお問い合わせ下さい。

通知を受けている国:オーストラリア、ニュージーランド、スイス、オランダ、台湾、香港、アイルランド、フィンランド

※オーストラリア、ニュージーランドについては日本に通知された条件による日程上、5ケ月以上の期間が必要になる場合があります。

CHECK 外国から日本へ犬を連れてくる場合

 日本到着後、狂犬病及びレプトスピラ病についての検疫のため、一定期間のけい留検査を受けなければなりません。

けい留検査では、動物を人間やその他の動物と隔離して病気の有無を調べるもので、通常は動物検疫所の施設で行います。けい留期間は、輸出国機関が発行する狂犬病予防注射証明書と健康証明書の内容によって14~180日の間で設定されます。ただし、狂犬病の発生のない指定地域から連れてくるときは、12時間以内のけい留期間になることもあります。

 健康証明書、狂犬病予防注射証明書のいずれも用意されていない場合は、入国することができませんので注意して下さい。

 最短期間(14日間)のけい留となるには以下の2つの条件を満たさなければなりません。

  • 狂犬病の予防注射を接種してから30日を超えて、その有効期間内に日本に到着すること。
  • 健康証明書(狂犬病、レプトスピラ病にかかっていない、かかっている疑いがない。伝染性疾病にかかっていない、かかっている疑いがないことが書かれているもの)と狂犬病予防注射証明書(有効期間が書いてあるもの)を用意しておくこと。

 この二つの書類は、相手国の政府機関(日本でいう動物検疫所にあたるところ)が発行するものでなければなりません。民間獣医師発行の場合には、輸出国政府機関の裏書き(エンドースメント)が必要になります。

なお、狂犬病の発生のない国(地域)として指定されているのは以下の通りです。こうした国や地域から直接持ち込まれる場合には、これらの国の政府機関発行の証明書が用意されており、異常が認められない場合は12時間以内に検疫は終了します。その証明書は以下の3つの点が記載されているものです。

  • 狂犬病、レプトスピラ病にかかっていない、かかっている疑いがないこと。伝染性疾病にかかっていない、または、かかっている疑いがないこと。
  • 当該地域において過去6ケ月間または、その生産以来飼育がされていたこと。
  • 当該地域に過去6ケ月間狂犬病の発生がなかったこと。

狂犬病の発生のない国(地域)

サイプラス、シンガポール、台湾、アイスランド、アイルランド、スウェーデン、ノルウェー、イギリス(但しグレートブリテン及び北アイルランドに限る)、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー諸島