健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

神戸市動物管理センター

行政と民間の絆が、犬たちと新しい飼い主を結ぶ

一頭でも多く幸せに

 犬を飼いたいと思ったとき、あなたはどうしますか?ペットショップへ行く人が多いかもしれませんが、動物保護施設などで新しい飼い主を待っているワンちゃんたちを譲り受けるという方法もあります。

 最近では動物愛護の精神から、全国の自治体や保健所などで、保護された犬の譲渡会が盛んに開催されるようになってきています。神戸市動物管理センターもそのひとつ。ただ、ここの活動が他と違うのは、行政と民間ボランティアが協力し合って譲渡活動が行われているという点。限られた設備や予算の中で運営に成功しているのは、民間ボランティアの方々との信頼と協力があってこそ。

このように行政と民間が一体となって犬の譲渡活動を行っているのは、画期的といえます。もともと、阪神淡路大震災で保護した犬たちに新しい飼い主探しをするなかで、譲渡活動の運営の基礎が培われていきました。震災が一段落したのちもそのノウハウを引き継ぎ、保護した犬たちが一頭でも多く幸せになることを願って行われてきています。

 神戸市動物管理センターの例をもとに、犬の譲渡活動についてご紹介しましょう。

ここにいるのは、飼い主の事情で飼えなくなったり、保護された犬たち。子犬だけでなく成犬もいます。平成17年4月から現在までに総数82頭が新しい家族に迎えられました。はじめて犬を飼う人には成犬のほうが飼いやすいこともあります。譲渡会のときに相談をして、自分の家族に適した犬を選びましょう。

犬たちの世話をするボランティア『CITY CENTER クロ』のメンバーの方たち。午前中は主に職員が世話をし、午後からは民間ボランティアの方たちが散歩や犬舎の掃除、犬たちの手入れなどしたりしています。センターの定休日の主力はボランティアの方々です。

看板犬として長らくセンターで飼育されていたクロにちなんだネーミング。穏やかな性格で来訪者を和ませたクロは、現在家庭犬となって幸せに過ごしています。

ボランティア募集!

神戸市動物管理センターで譲渡待機中の犬のお世話をしてくださる方を常時募集しています。犬の散歩、犬舎の清掃、子犬の社会化のためのふれあい、動物の車での送迎など。一日でも長期でも、できる範囲でご協力ください。

TEL:078-741-8111

神戸市動物管理センターにおける犬を譲り受けるまでの流れ

譲渡申請書

動物管理センターか区役所で犬の譲渡申請書をもらい、住まいの様子や家族構成、今までに飼った経験など、必要事項を記入して動物管理センターに送ります。

書類審査(約2週間)

譲渡申請書をチェックし、場合によってはお宅を訪問し、愛情を持って適正に飼ってもらえるかどうか審査します。

審査結果OK → 参加票を持参

不可となると、残念ですが譲渡できません。

ワンワン譲渡会 毎週水曜開催

譲渡対象の犬たちを見ることができ、約1時間の講習会に参加したのち、犬を選べます。

講習会ではセンターの職員や獣医師が、犬の習性や病気、しつけの重要性などについてのレクチャーを行います。避妊・去勢や室内飼いのすすめもここで。譲渡希望者は必ず参加し、飼い主としての心構えをしっかり意識してもらいます。

決定

このときに決まらなかった場合、講習会まで参加していれば後日センターへ来て選ぶことができます。

登録・狂犬病予防注射  
家族の一員に!

飼ってからも、しつけ相談や健康相談のフォローも受けられます。

このような譲渡会は神戸市に限らず多くの自治体で行われています。新しく犬を家族に迎えようとするときは、ぜひ、お近くの市役所や保健所に問い合わせてみてください。