健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

DOCTOR'S ADVICE 夏の季節編

CASE 2

ワクチン後、お散歩はどのくらいでしていいんですか?

 春に迎えたトイプードルですが我が家に来て3カ月がたちました。この前3回目のワクチン打ったのですがお散歩はワクチン後どのくらいたてばしていいんでしょうか?やっぱり最初は近所だけの方がいいのでしょうか?家でリ-ドつけて練習してみたけどリ-ドに噛み付きまくってます。

Advice

 ワクチンは幾つかの病原体に対する抵抗力、すなわち抗体を作る目的で接種されるものです。しかし、ワクチン投与後すぐに十分量の抗体が作られるわけではありません。病気に対して抵抗できるほど十分な抗体が作られるには少なくとも1週間以上かかります。このため、子犬を外へ連れ出す場合にはワクチン投与後1週間以上経ってからが良いでしょう。できれば、10~14日程度後にお散歩に行かれることをお勧めいたします。

 ワクチンプログラムを実施する期間中、実は子犬にとって大切な社会化の時期でもあります。まったく外部に出さない、他の犬と接触させないというのは子犬の成長にとって好ましくありません。このため、抱いて家の周囲を散歩したり、車に乗せて周囲の音や景観を見せてあげたりということを行ってあげる、または、様々な場所で開催されているパピークラス(ワクチン投与済みの子犬だけが参加できるもの)に参加させてみるのも良いでしょう。

 まずはリードに慣れさせることがお散歩の第一歩であるので、自宅でのリードに慣れさせるための訓練はとても良い事です。リードに噛み付いてくるという場合には、リードをおもちゃとしてみている、またはリードが気になるから噛み付くという可能性があります。

 リードを体につけるのが気になる子の場合にはごく短時間、リードが体に装着されるのに慣れさせることから始めます。このとき、リードをつけている間、飼い主の方が子大の興味を引くようなおもちゃで遊んであげたり、おいしいおやつをご褒美としてあげたりし、『リード=良いこと』と子犬が思うようにしましょう。このとき、飼い主さんがリードをつけた子犬をみて、喜んだり、嬉しい声をかけてあげたりするのも子犬にとって楽しいことになる場合があります。

 リードをおもちゃとしてみているような子の場合には、もっと楽しいおもちゃ、子犬の気を十分にひきつけるようなご褒美などを用意しておきます。そして、リードを噛む素撮りを見せる前に、リードを噛まないようにそれらのおもちゃやご褒美に気をひきつけるようにしましょう。

 どのような訓練も子犬にとってはまだ『遊び』、と考えさせてあげます。遊びは短時間で中断されると、次も!と思うようになるので、必ず短時間ずつ日に数回だけ行い、子犬が飽きる前にやるようにすると良いでしょう。


CASE 3

ノミやダニの駆除薬について

 ノミ・ダニに気をつけないといけない季節ですね。家のコーギーもよく公園でお散歩などをするのですが、その時々ノミ・ダニがついてしまうことがあるのでよくチェックしています。
 この季節になると、動物病院ではフィラリアがはじまりますしそれと同時にいつも、ノミダニ駆除のお薬もいただいています。ペットショップなどで売っている薬と動物病院との違いはやはり何かあるのでしょうか?

Advice

 虫が卵から孵化、あるい蛹から羽化するには気温などが関係してくるため、暖かくなってくると、お散歩に行く子の場合ではノミやダニの予防が必要となってきます。ペットショップと動物病院で取り扱っているノミやマダニ予防の薬の差なのですが、まず動物病院で主に取り扱っているのは『動物用医薬品』になります。

 動物用医薬品は獣医師の資格が無いと取り扱いができません。動物用医薬品はその『効果』、『品質』、『安全性』だけでなく、『副作用』などについて農林水産省の定めた規格にそった膨大な試験を行い、この結果が審査され、承認を受けたものです。農林水産省の厳格な審査を通って、初めて動物達に使用されている薬剤となります。

 また、動物用医薬品は承認を受けた後も、副作用などについての情報が農林水産省に寄せられ、それが公表されているため、常にこれらに関しての様々な情報を得ることができ、獣医師も素早く対処することができるようになっています。市販薬(医薬部外品)はこの承認を得ていないもの、となります。

 動物用の市販薬に使用されている成分は動物用医薬品と同じようなものが含まれている場合がありますが、その濃度や構成成分の組み合わせに差があり、作用が緩やかなものとなっています。例えば濃度が低く、作用持続時間が少なかったり、効果が低かったり、ということになります。

 ノミやダニ(マダニ)は、動物に痒みをもたらしたり、皮膚を傷つけたりする外部寄生虫(動物の体の表面に寄生する寄生虫のこと)ですが、ノミやマダニが寄生することによって、様々な別の病原菌が媒介されることがあります。例えば、ノミであれば瓜実条虫というお腹に寄生する寄生虫が媒介されることがありますし、マダニであれば、バベシアという赤血球を壊して貧血を起こしてしまう寄生虫を媒介することがあります。バベシアという寄生虫は命に関わってくることがあるため、予防できる外部寄生虫の予防はしっかり行うようにしましょう。

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