健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

DOCTOR'S ADVICE 夏の季節編

DOCTOR'S ADVICE 夏の季節編

ペピイのホームページにある掲示板のコーナーにも、飼い主さんからいろいろな悩みが質問が寄せられています。今回はその中から具体的なケースを取り上げて、そのご質問へのアドバイスをご紹介します。
CASE 1

これって夏バテ?

 生後6ケ月になるミニチュアダックスです。とにかく周りのどの犬よりも元気いっばいの子なんですが、この夏になってから食事量が減り、特にここ数日の暑さのせいか、ここ2~3日はほとんど食べません。
 特に変わったところはなく、相変わらず元気です。少しでも食べてもらおうと、いろいろフードを変えてみたりしてます。いつもと違うフードだと最初は飛びついて食べるのですが、何度か食べてるうちにまた食べなくなります。何か良いアドバイスあればおねがいします。

Advice

 日本は四季折々の変化があり、それが私たちを楽しませてくれるものですが、四季の変化に体が順応しきれなくなると、体調を崩してしまいます。特に急激に気温が上がってしまうと食欲が低下してしまうことが人間でも良くありますね。これは、数日続くとなんとなく体が暑さになれて体調も元に戻っていき、食欲も再びでてくることが普通です。

 今の日本では夏場にはしっかりと冷房をつけ、外と室内との気温差が激しくなっていることが良くありますね。外と室内との気温差が激しく、外と室内を行き来している、あるいは冷房のきつい部屋ときつくない部屋とを行き来していると体がどちらの気温に順応すればいいのか分からなくなって、混乱し不調を訴えてしまうことがあります。これがいわゆる夏バテと言われるものです。

 この時の対処法は基本的には室内と室外の気温差を少なくすることです。3~5℃以内の気温差になるようにします(犬がいる高さに温度計を置き、犬がいる場所の気温が下がり過ぎないように注意しましょう)。暑さがきついと思われるときにはクールマットなどを敷いてみるとかお風呂場を開放してあげる(タイルが涼しいようです)などの工夫をされると良いでしょう。あるいは、昔ながらに窓を開け、打ち水をして屋内に風を取り入れるようにするのも一つの方法です。

 日本の夏は湿気が激しいことでも有名です。湿気は不快であるだけでなく、体から熱が放散されるのを邪魔してしまいますし、湿気と暑さで細菌が増殖しやすくなり、犬に皮膚炎を起こさせるような環境となってしまうことがあります。それを防ぐ意味でもサマーカットして愛犬の体自体を涼しくしてあげてみると良いかもしれません。

 あるいは、室内の冷房を抑え、除湿を行うようにすると気温のわりに過ごしやすくなります。ただし、このような時には水分がいつでも好きなだけ飲めるように、新鮮なお水を用意してあげましょう。

 暑さ対策とともにアスファルトで足を火傷しないようにするという目的で、お散歩時間を朝早くか夕方遅くに変更し、日中の暑い中には外出せずに体を休めるようにすることも夏の過ごし方として重要ですね。

 また常に新鮮なお水を数箇所に用意して好きな時に飲めるようにしておき、できるだけ水分を接種するようにセッティングしておくのも良いでしょう。夏場は愛犬が嫌がらなければスポーツ飲料水をスプーン1杯程度お水に入れておくとミネラル補給になります。ただし、スポーツ飲料水の与えすぎは糖分や塩分の過剰になるので、ほんの少しにとどめましょう。

 ご飯を食べなくなるというのは、とても心配なものですが、次々と新しい食事に変更していくと愛犬にとってそれが当たり前となり、新しいものしか食べなくなるというようになってしまうことがあります。体の不調から食欲が低下する場合と我侭から食べなくなるという区別はしっかりつけておかないといけません。

 体調を崩して食欲が低下している心配がある場合には、まずは動物病院で体に異常がないかどうかを診察して頂きましょう。食欲が低下していることの理由の一つに暑さで動きが鈍くなって、運動量が減り、一日に必要なカロリーが低下してしまっていることもあります。こんな時には体重は減っていかないものなので、体重も数日に一回程度、小型犬であれば小児用の体重計を用いて計測しておくと良いでしょう。

 食事に工夫をしていかれる時には、犬は匂いで食欲をそそられることが多いので、フードにお湯やお肉をゆでたスープ(塩分なし)をかけ人肌程度の暖かさにして匂いをださせて与えるという方法もあります。また、フードを与える時の基本として、フードを与えて、三十分ほどしたらそれを下げ、次の食事時問まで与えないようにすることが大切です。いつまでもフードがあると食欲を示さなくなることがありますし、夏場はドライフードといえども傷んでしまいますので、特に注意していきましょう。

 その他に食事のしばらく前にマッサージやブラッシングをして、血行を促してあげたり、軽く遊んであげたりするのも勧められます。

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