健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

長く犬や猫たちとくらすために「泌尿生殖器系の病気について」

尿石症

 これは高齢の犬や猫だけに限った病気ではありませんが、尿石症という病気があります。トイレに何回も行くけど、ポタポタしか出ていないみたい、尿をした後しきりにペニスをなめている、尿に血が混じっていた、トイレでずっときばっているので、便秘かと思っていたがどうもトイレが濡れている様子がない、などに思い当たることはありませんか?もし完全に尿石によって尿が出なくなってしまうと72時間以内に亡くなってしまうこともありますので、これも早期発見、早期治療が肝心です。

 原因としては、これも元々なりやすい犬種もありますし、腫瘍や感染が元になっている場合もあります。ただやはり、ほとんどの場合は普段食べている食事が原因になっているのです。

 マグネシウムやカルシウムの多い食事、運動不足であまり水を飲まない、一日中だらだら食べている、トイレが汚れているため行きにくかったり、我慢しがちであることなどが重なって、尿石症を起こします。マグネシウムやカルシウムはたくさんとり過ぎると、尿の中に出て結晶をつくりますし、水をあんまり飲まないと尿が濃縮します。また、(食後に尿は一時的にアルカリ性になるため、)しょっちゅう食べてばかりいると、尿が(ずっと)アルカリ性になって細菌が増殖しやすくなります。

 また、細菌や膀胱炎を起こした時に出てくる細胞を核として、結晶が集まって固まりやすくなったりするのです。

 治療は、結石を手術で取り除いたり、食餌療法をしたり、抗生物質を使ったりします。いずれにせよ、再発しやすい病気ですので、生涯にわたって食餌療法や環境管理が必要になります。

最後に

 泌尿器系の病気ではないのですが、糖尿病など、他にも尿量が増える病気があります。また、尿石症以外で尿量の減る病気としては、急性腎不全で尿が作れなくなるような場合や、交通事故や打撲による膀胱破裂などもありますから、尿の状態は毎日よく見ておいてあげてください。理由は何であれ、尿が出ないというのは生命にかかわる緊急疾患ですから、何をおいてもすぐに病院に連れていってあげましょう。

 病気が慢性化することの多い高齢期の動物には、飼い主であるあなたの手厚い看護が何よりの薬です。病院の治療とあなたの看護ががっちり手を組めば、少しでも幸せに長生きしてくれることでしょう。

 病気とつきあうのは大変なことですが、今まで楽しい思い出をくれている大切な子たちのために、最後まで頑張ってあげてくださいね。

 わからないことや大変なことがあったら、恥ずかしがらずにどんどんかかりつけの病院に聞いてみてください。きっと力になれると思います。

ワンちゃん猫ちゃん年令換算表
  犬や猫たちは、私たち人間に比べて何倍も早いスピードで年を重ねています。子犬・子猫の時期(生まれてからの6ヶ月齢位まで)は、人間の子供の時期にあたります。そして、犬や猫たちは1歳で、私たちの18歳にも相当するまで成長します。