健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

わんちゃん&子ども 「事故を防ぐための仲よしルール」

 子どもがわんちゃんを見かけると一目散に走り寄ったり、撫でたり触ったりする光景は普段よく見受けられます。特に、とても愛らしい子犬や、自分の家で飼っている犬と同じ犬種の場合などは、親近感もわいて触ってしまいたくなるもの。保護者の方もつい安心して黙殺しがちです。でも、ちょっと待ってください。

実は子供にとっては悪意のない行動も、犬にとっては「恐い!」と感じることだったり、驚いてパニックにつながる原因にもなるのです。また、普段は穏やかな性格の犬でも、体調が悪かったり、何らかの理由で攻撃的になってしまう場合もあります。

 咬傷事故など万一の事故を未然に防ぐために、はじめての犬と接するときのマナーや、飼い主さんがそばにいない犬を見かけた時はどうしたらいいのか、普段から子どもとよく話し合っておくことがとても大切です。飼い主が犬をしつけるのと同時に、ぜひこの機会に、子どもたちひとりひとりに、犬との接し方を伝える時間を作ってみてはいかがでしょうか。

万一の事故を防ぐために……よく慣れているご近所の犬や、たとえ自分の家で飼っている犬であっても、飼い主や大人がそばにいない時は、子どもと犬だけにしてしまわない注意が必要です。

1. わんちゃん、嫌がってるよ「おもちゃ」なんかじゃないんだよ

  • 無理やりに持ち上げたり、乱暴に扱ったりしない
  • 毛を引っ張らない
  • しっぽを引っ張らない
  • 耳を引っ張らない

2. こんな時は、近づいたり触れたりしないでね

  • 飼い主がそばにいなくて、ひとりで 留守番している時
  • 食べているとき
  • 寝ているとき

3. ちょっと待って!触りたくても、撫でたくても、飼い主さんに聞いてから

そばにいる飼い主さんに「撫でていいですか?」と聞いて了解をもらおうね

飼い主さんにOKをもらってから「わんちゃん、こんにちわ」
自分の手をゆっくり近づけて「はじめまして、お友達になろうね」

名前を呼びながらやさしく撫でてあげよう

4. リードにつながれていない犬に出合った時

絶対に近づいたり、触りにいったりしない

大きな声で叫んだり、犬の周りを走ったりしない

犬の目をじっと見つめたり、覆いかぶさったりしない

もし犬が近くに寄ってきたら、視線をそらしてじっと立つ

獣医師さんのワンポイントアドバイス
 

 動物行動学的な見地からお話しすると、犬にとって「人間」とは、おおよそ中学生以上の者に限られており、小学生以下の子供・幼児たちは人間として認識されていないと考えられています。従って小さい子供が一人だけで初対面の犬に接することは、犬の行動が全く予測できないため非常に危険といえます。保護者の方の十分な注意のもとで、動物たちへの愛情を育んでください。