健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

~花や緑のある生活を楽しむために~
愛犬・愛猫たちの中毒事故にも気をつけましょう

 室内を彩る植物や丹精込めて作る花々は私たちの気持ちを和ませてくれたり、季節の変化も感じさせてくれます。
近年では室内を鮮やかな緑を用いてインテリアの一部としたり、庭を様々な植物で工夫し、ガーデニングを楽しまれる方がずいぶん増えました。休日の園芸店はそんな方たちでとても賑わっていますね。

 でも、室内や庭などで育てる植物のなかには、犬や猫たちが誤って口にしたり、触れたりすると大変有害なものがあります。万一の中毒や事故を起こさないためにも植物を楽しむ際に知っておいて欲しいこと、気をつけてほしいことを紹介しましょう。

 一概に「有害な植物」といっても、花や実、種子、茎、根、球根など、どの部分が中毒の原因になるかも異なります。また、「どれだけ食べてしまうと中毒を起こすのか」についても、その植物の発育環境、状態などや犬や猫の個体差(体重や体質、状態など)によっても違ってきます。

 犬や猫に有害な植物には、アサガオ(有毒部分は種子)、アマリリス(球根)、クリスマスローズ(全草、特に根)、ヒヤシンス(茎)、ポインセチア(茎からの樹液と葉)などをはじめとするたくさんの種類があります。また、サボテン類は刺に毒を持っているものもあり、刺さると化膿することがあります。

 しかし、個々の有害な植物全て覚えておくことはできませんので、すでに栽培されている植物の名前やこれから購入する予定の植物については専門書をあらかじめみておくなどしてできるだけ調べておきましょう。インターネットでも犬や猫の中毒を引き起こす可能性のある植物を紹介しているホームページがありますので、利用されるとよいでしょう。

 今後新しい植物を購入する際にもどのような植物にどんな中毒の危険があるかを知っておけば、あらかじめ対策を準備することもできます。

 飼い主さんは万一の事故を防ぐためにも有害な植物には犬や猫たちが近づいたりしないように、また、近づけなくしておく、落ちた花や実、葉はすぐに片付ける、などの工夫をしておきましょう。

 室内の鉢植えを掘り返されたりしても、化学肥料などで犬や猫たちが中毒を起こす可能性もあります。根っこが見えないようにする、または掘り返せないように鉢の上にネットを張るなどの工夫をするのがよいでしょう。

 猫を飼われている方は、猫専用の猫草を用意されている方も多いと思います。室内飼いであれば特に心配はないのですが、屋外を自由に行き来する猫の場合、道路や公園の草は除草剤や殺虫剤が含まれている場合があるので与えないようにしてください。

殺虫剤や除草剤・肥料なども気をつけましょう

 植物を楽しまれるご家庭には同時に殺虫剤や除草剤、化学肥料なども用意されていると思います。これらも同様に犬や猫からは離しておくようにしておきましょう。決して出しっばなしにしたりせず、舐めたり口にしたりしないように保管には十分に気をつけてください。

もし、愛犬や愛猫に中毒症状がみられたら

 有害と思われる植物を食べている現場を見つけたり、嘔吐やケイレンなど中毒症状と思われる症状がみられた場合は、直ちに動物病院に連絡し獣医師の指示に従ってください。

 動物病院に行くときは、何を食べて中毒になったのかが治療を行う上で大切になりますので、できるだけ原因と思われるもの(植物や除草剤、殺虫剤など)の種類を確認し、その食べた部分も一緒に持っていくようにしてください。

 犬や猫の「中毒事故」といっても特殊な薬物ではなく、私たちの家庭に普通に置かれていたりするものが原因となることがあります。有害となる可能性のある植物や殺虫剤、除草剤だけでなく普段から日常的に用いる洗剤や漂白剤、お風呂のカビ取り剤、殺虫剤、乾燥剤、自動車のワックスなどにも色々な化学薬品が含まれており犬や猫が過って口にしたり舐めたりすると中毒を引き起こす可能性があります。(私たちが口にする食品の中でも、ペピイの読者の方なら既にご存知だと思いますが、犬にとっては玉ねぎやチョコレートも中毒の原因となりますね。

 これらにはそれぞれ成分や使用方法などについての注意などが記載されていますが、いくら「取り扱い注意!子供の手の届かないところに」と書かれていても、犬や猫たちにはわかりません。特に好奇心が旺盛な子犬や子猫なら、どんなものでも口にしてしまうことがあります。

 楽しい犬や猫との暮らしを送り、花や緑を楽しむためにも、飼い主さんの十分な注意と工夫をお願いします。