健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

人獣共通感染症 Zoonosis  Part2
狂犬病の話 狂犬病の予防注射はなぜ必要なのでしょう?

狂犬病を防ぐために

愛犬には必ず狂犬病の予防接種を受けさせる。
 

 万一、日本国内で狂犬病が再上陸した場合、犬が人ヘ狂犬病をうつす感染源となる可能性が一番高いと考えられます。そのため、できるだけ多くの犬が狂犬病の予防接種を受けておくことが、万一この恐い病気が日本に侵入した時にも、人間への影響を未然に防ぐ手だてとなり、愛犬だけでなく私たちの暮しを守ることにもなります。

 厚生労働省の資料では2001年度の犬の登録頭数は全国で約593万頭で、そのうち狂犬病の予防注射を済ませている頭数は464万頭、接種率は約78%となっています。しかし、ペットフード工業会の調査資料では約980万頭(2001年度の調査)の犬が飼育されていると推定されているため、接種率は50%以下にすぎず接種率をあげていく必要があるのです。皆さんの愛犬にも狂犬病の予防接種は必ず受けさせてください。

海外で野生動物に接する機会があっても、近づかない。
 

 かわいいから、動物が好きだからと安易に触りにいってはいけません。万一、噛まれたりした時はすぐに医師の診断を受け、狂犬病の危険が予測される地域の場合はあらかじめワクチンの接種を受けるようにしてください。
 海外では、狂犬病に感染したリスや猫だとは知らずに餌を与えようとして咬まれてしまい感染してしまった例も報告されています。

感染の可龍性のある動物を日本国内に入れない。
 

 狂犬病に感染する可能性の高い犬、猫、キツネ、スカンク、アライグマは、動物検疫所で輸入時に動物検疫が行われています。しかし、世界各地より輸入されているこの他の哺乳動物も、相当数にのぼっており、このような状況下では、いつ狂犬病のウイルスが侵入してくるかわかりません。そのためにも万全の検疫体制が必要となってきています。また、犬や猫以外の海外から輸入される小動物もエキゾチックペットとして人気がありますが、狂犬病だけでなく習性や他の人獣共通感染症の可能性もわからないため、コンパニオンアニマルとして飼育するのはおすすめできません。

日本も現在は発生していない島国だからといって安心はできません。日本各地に入港するロシアの貨物船には安全な航海の守り神として犬を乗せている場合があり、この犬がそのまま日本国内に検疫を受けずに入ってしまったというケースが報告されています。また、イギリスでもユーロトンネルの開通により、そのトンネルを通じてフランスから狂犬病に感染した動物の侵入が危惧されています。実際、1996年にはイギリス国内でもコウモリの狂犬病が見つかったようです。

今の日本で狂犬病が起きたらこれだけ犬がいるんだからたいへんなことになるじゃろな。犬を飼うことができなくなってしまうかもしれん。安心してはいかんということじゃな。あのBSE(狂牛病)も日本で見つかるまでは遠い国の話かと思っておったものな。

コテツ君、ぜひムサシ君も誘って一緒に狂犬病の予防注射受けてくださいね。

はい、そうします。チュウシヤさえしておけば、狂犬病も恐くなんかないものね。

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