健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

そろそろ高齢期 いつまでも元気でいるには?

高齢期の食事管理を考えよう

 家族の一員として慣れ親しんできた愛犬、愛猫も、ふと見れば、白い毛が目立つようになってきたし、足どりが弱々しくなってきたような…。ひょっとしてそろそろ高齢期!?。

一般に、犬は犬型犬または超大型犬では5歳を過ぎたら、小型犬や猫では7歳を過ぎたら高齢期に入るといわれています。大切なペットがさらにイキイキ、そして長生きするために、栄養管理はとても大切です。

どのような病気にかかりやすいの?
表1 高齢犬・高齢猫でよく認められている病気

 ワクチンやフィラリア予防薬などによる予防の普及や、ペットに適応した食事の給与などにより、犬・猫の寿命は長くなりました。そのために、私たち人間と同じように、高齢の犬猫がどんどん増えていきます。

 年を重ねることによって、回復能力が減退し、そのため病気になりやすくなったり、内臓の動きが衰えたり、といった症状が現れ始めます。

 高齢犬・高齢猫で認められやすい病気を表1に、また年齢と病気の関係を図1に示しました。高齢期の犬猫の場合は、1つ問題が生じると、それがまた別の問題へとつながりやすくなるので、日頃の予防が大切です。

 また、「動作が鈍くなった」「粗相をするようになった」「毛ヅヤが悪くなった」などという、いわゆる”老化“や”認知機能の低下(犬)“もみられるようになります。

適切な食事で体づくり

 こうした加齢に伴う変化に対応するには、日々食べているフード、栄養を考慮することがとても大切になります。食事に気をつけることで、高齢期の犬猫のかかりやすい病気を1つでも2つでも避けることができる、もしくは発生を遅らせることができれば、それだけ健康に長生きできます。

 犬猫が必要とする主要な栄養成分として、蛋白質や脂肪、リン、カルシウム、塩分などがありますが、高齢期の健康な犬猫が必要とする成分は基本的には維持期と大きな差はありません。

 けれども、高齢犬の場合、加齢とともに基礎代謝が落ち、体温が低下し、皮下脂肪が増加するために、エネルギー要求量が減少します。また、高齢猫では潜在的に腎臓病を抱えている可能性が高いので、食事中のリンを減らした方がよいなど、高齢期に適した食事に変更する必要があります。

 また、ビタミンCやE、ベータカロテンなどの優れた抗酸化成分が強化されているフードは、酸化によるダメージから細胞を守ることとなります。

 なお、フードを変更する際には、消化不良を避けるためにも、3~7日かけて従来のフードに高齢用のフードを徐々に増加させていって慣らしていくとよいでしょう。

 食事の与え方についても、痩せ気味や超高齢犬の場合には、いつでも食べられるようにフードを設置しておいたり、味覚が衰えた猫にはウェットフードや温めたフードを与える、などの配慮が大切です。そして十分に水分をとっているかも必ずチェックしましょう。

 年をとることは自然なことです。加齢に伴う変化をいち早く知るためにも、下のチェックリストの項目に気をつけ、食欲や行動などに変化がみられたら、できる限り早く動物病院で検査をしてもらいましょう。

 また、特に異常がみられない場合でも、年に1~2回は動物病院で便や尿の検査、血液検査などの健康診断を行い、全身の状態を把握しておくことが、高齢期の犬猫の生活の質を向上させる重要なポイントになります。

チェックリスト
A

食欲が落ちてきた

A

のどが渇いているようだ

A

頻繁に排尿している

B

呼吸が苦しそうだったり、呼吸する間隔が短い

B

ゲーゲーするような、低い音の咳をすることがある

B

おなかの周りがふくらんできた

C

足を引きずっていたり、じっと動かないことがある

C

階段などの段差を登りたがらない

C

散歩のときに遅れてついてくることが多い

D

家の中を排便・排尿によって汚してしまう

D

言葉をかけても反応しなくなった

D

家族や場所がわからなくなったようだ

このような病気が疑われます。
  • A 腎臓病
  • B 心臓病
  • C 関節炎
  • D 脳の加齢性変化にともなう行動異常
思い当たることがあったら早めに動物病院へ
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初期の心臓病・ 腎臓病、高齢期の 犬・猫の維持食に
<犬用>k/d
腎臓病、心臓病に
<犬用>h/d
心臓病に
<犬用>j/d
関節炎に
<犬用>b/d
脳の加齢性変化にともなう行動異常に
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