健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

犬の耳はココがすごい!

犬の耳はココがすごい!
「スゴ耳」をクローズアップ!

しくみと働き

耳介が優れた「集音器」の役割を発揮

 犬の耳のしくみで、人と一番違っているのは「耳介」でしょう。犬の耳介はたくさんの筋肉からなり、あらゆる方向に片耳ずつ自在に動かすことができます。効率のよい「集音器」の役割をしているのです。
 耳介で拾われた音は鼓膜を振動させ、その振動が中耳内の耳小骨を伝わって、内耳へ。内耳の蝸牛の中には音を感じ取る細胞があり、聴覚情報を聴神経を通じて脳へと伝えます。ちなみに、平衡感覚を保つ機能は、内耳の前庭と半規管が担っています。こうした耳のしくみや働きは、犬も人も変わりません。

病気

ぷ~ん

「外耳炎」を招きやすいL字型の耳道

 春から夏にかけての季節、耳のトラブルとして注意したいのが「外耳炎」です。原因は、耳ダニや真菌(カビ)、細菌、アレルギーなど様々ですが、ひどいかゆみ、耳垢、耳がにおうなどの症状が出ます。犬の耳は、人と違って外耳道がL字型に折れ曲がっており、途中から横方向に進んでいます(水平耳道)。この部分は汚れがたまりやすく、また通気が悪いので、細菌や真菌の増殖を招きやすいようです。異常に気づいたらすぐに動物病院へ。

耳の断面図

 なお、日頃のお手入れは、耳介を脱脂綿でやさしく拭ったり、イヤーローションを耳に垂らしてクチュクチュともむ程度で。綿棒を使うと、外耳道を傷つけたり、汚れを奥に押し込んでしまいかねないので、やめておきましょう。

すごい!①人よりずっと高周波数の音が聞き取れる!

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 耳が音として感じ取れる周波数帯域のことを「可聴域」といいますが、人の可聴域は20Hz(ヘルツ)~20000Hz。一方、犬の場合は諸説あるものの、だいたい20Hz前後~50000Hz前後ぐらいは聞き取れるようです。人の耳には聞こえない犬笛(30000Hz)に反応するのもそのためです。

すごい!②32方向の音源を聞き分けられる!

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 音のする位置をどれだけ正確に聞き分けられるかという能力についても、犬の圧勝!ある実験によれば、人は16方向の音源しかわからなかったのに対し、犬はその2倍、32方向の音源を聞き分けることができたそうです。やはり耳介を自在に動かせるのが強みですね。

すごい!③聴力は人の4倍という実験結果も

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 直径3mmの鋼鉄の球を3cmの高さから鉄板に落として、その音を聞き取る実験で、人は6m離れると聞き取れなかったのに対し、犬は24m離れても聞き取れたそうです。単純に計算すれば、人の4倍の聴力ということに。

すごい!③聴力は人の4倍という実験結果も

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 犬の耳は、音を聞く以外に「感情を表現する」役割があり、そこが人の耳との大きな違い。しっぽと同様、犬の気持ちを理解するうえでの大切なチェックポイントです。
「耳がピンと立っている」・・・注目したり、集中している。
「耳が前方に向かって立っている」・・・警戒や緊張、攻撃的になっている。
「耳が後方に倒れている」・・・不安や恐怖を感じている。

どうして?耳の不思議を解明!

(違う名前で呼ばれても、反応するうちの犬。自分の名前を覚えてないの?)

 人の発する言葉は、母音(a、i、u、e、o)と子音(k、s、t、n、h、m、y、r、w)から成り立っており、犬は母音の聞き分けはできますが、子音が苦手。例えば「ジャッキー(Jackie)」と「チャッピー(Chappie)」、「マテ(mate)」と「ダメ(dame)」など、同じ母音で構成される言葉は、聞き間違いをする可能性があります。犬の名前や指示語は、犬が聞き分けやすくする配慮も大切ですね。

(うちの犬は話しかけると首を傾げます。どんな意味があるの?)

 犬が首を傾げて聞き入る姿はかわいいですよね。犬は獲物との距離を音によって判断します。首を傾げることで、左右の耳の音の聞こえ方の違いから、相手の方向や距離を測っていると考えられています。また、犬は目がやや外向きについており、真正面が死角となるため、首を傾げて見やすくしているという説も。いずれにしても、飼い主さんに集中している動作です。

(犬は聴力が優れているというけれど、垂れ耳犬種はどうなの?)

 垂れ耳は、耳介が集音器の役割を果たせないので、聴力は立ち耳より劣ります。
 狩猟犬によく見られる垂れ耳。これは狩猟犬としての能力を高めるには垂れ耳のほうが有利なため、犬種改良によって生まれたものなのです。あえて耳からの情報を制限することで、嗅覚に神経を集中させられるとともに、垂れた耳が鼻周辺の風を遮り、においを嗅ぎやすくしています。