健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

今、私たちにできること

ナシラとの出会いが私の支えになりました。

津波ではあまりに多くのものを失いました。

 あの震災と津波で、近藤さんの住む荒浜地区は壊滅状態でした。
 「自宅に行ってみたら家の基礎と庭石数個くらいしかありませんでした」
 現在の保護数は1日に、1、2頭。人と同じようにスクリーニングし、1万3000cpmを越えると除染対象になります。
 残念ながら、写真館をしていたご主人は助からなかったそうです。
 「それでも当時飼っていた愛犬のスピカはどこかにいるかもしれないと探していたところ、動物管理センターのホームページでスピカに似た子の捜索依頼をみつけました」

主人とスピカがくれためぐり合わせ。

 「実際に会うと、すぐにスピカではないと分かりました。でも、私の手をナシラがやさしく舐めてくれて・・・。心が揺れました」
  決心がつかずにいたところ、動物管理センター内でスピカちゃんの写真を見つけたそうです。
 「実はスピカも動物管理センターで引き取ったんです。そのスピカを主人が撮影し、年賀状として送っていた写真が飾られていたんです」
 ご主人が撮った写真は全て津波にさらわれており、その年賀状は、数少ない一枚だったのです。
 「この瞬間、主人とスピカがナシラにめぐり会わせてくれたと感じました」
  高齢犬で心臓病の心配があると言われても、もうナシラちゃん以外、引き取る気にならなかったと言います。
  「よぼよぼのおじいさんかと思っていたら、どんどん元気になって。最近はわがままも言うんです」
 近藤さんの表情がほころびます。
 「私がナシラに与えるものよりも、ナシラからもらうものの方がずっと多いんですよ」

 満面の笑みでそうおっしゃる近藤さんの様子に、こちらまで嬉しくて、心が温かくなりました。

  • ナシラはどんどん元気になっています。
  • お散歩も大好き。

ナシラはどんどん元気になっています。
お散歩も大好き。

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