健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

ちょっとの工夫で涼しくて快適なお部屋づくり

ちょっとの工夫で涼しくて快適なお部屋づくり

ところで熱中症って?

「高温」「多湿」が原因で、体温調節ができなくなる症状です。

犬はほとんど汗をかかず、舌を出して熱い息を吐き出すことによって体温を下げます。
気温や湿度が高いと熱を発散しにくく、体温が急激に上がって体が機能不全を起こしてしまいます。
症状が進めば命の危険も。

特に短頭種の熱中症による来院が多いですね。

パグなどは鼻の穴が狭く、無理な呼吸により軟口蓋が伸びてしまうと、気道が狭くなって体の熱を放出できなくなるんです。より気をつけてあげてください。

こんな子も注意!
北方原産の犬・高齢犬・子犬・肥満の子・足の短い子・心臓や呼吸器系の病気を持つ子

熱中症になりやすいのはこんな時

4~6月の気温や湿度が急に上がり始める時季

人はそれほど暑さを感じなくても、犬にとってはもう暑いんです。

4~6月の気温や湿度が急に上がり始める時季

風通しが悪いと空気が循環せず、犬の寝床だけ湿気がたまって暑いという場合も。

もしも熱中症になってしまったらどうしたらいい?

熱中症対策はこちら

ちなみに夏バテは・・・毎日の不快な暑さや湿気により、体がだるくなったり食欲不振になることも。

バテた状態が続くと、体力が落ちて病気にかかりやすくなるので、しっかり予防してあげてください。

夏バテで、食欲がなくなってしまいました。

原因として思い当たるのは、なるべく冷房をかけず扇風機を使っていたこと、お出かけ時に暑さ対策が足りなかったこと、あまり水を飲まなかったことなど・・・食べやすいウェットフードを中心に、蒸して冷やしたササミをあげたりして、食欲を戻すようにしました。
クッキー(トイプードル) 飼い主:富田さん

まずはキホンから。涼しいお部屋づくりのポイントは、「風の通り道」を考えること。

犬は湿気に弱い動物。ジメジメした空気は大変なストレスとなります。
お部屋の空気の循環や風通しを考えて、そよそよ風を感じられるような、気持ちの良い環境にしてあげてください。

金巻とも子先生にアドバイスをいただきました!

一級建築士、愛玩動物飼養管理士。
ペットとの暮らしをテーマにした建築コーディネータとして活動。建築士でありながら、一主婦、一飼い主として、家族全員が健康に暮らせる家創りや住まい方を提案する。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)

4~5月

冷房を使うほどでもないこの季節には、冬の間たまった湿気やハウスダストを掃き出してしまいましょう。
空気清浄機より、窓を開けておうち全体に風を通すのが一番。お部屋のニオイ対策にもなります。

平面の対角線

風が通り抜けるように窓を開けます。

対角線上にある窓を開けて通気します。
家の中全体にまんべんなく風を通すことで、熱がこもらないので室内の気温が上がりにくくなります。

低い所から高い所への対角線

冷たい空気を下から入れ、上へ逃がす。

冷たい空気を取り入れたいなら、ブラインドなどで日光を避けながら、窓の下部分から入ってくるようにすれば効率的。
お部屋で温まった空気は上昇するので、換気扇から外へ逃がすのがいいでしょう。

*換気扇をつける時は、必ず窓を開けて。
キッチンの換気扇などで一方的に排気が行われると、お部屋の中が真空の状態に近づき、収納の扉が急に開くなど事故につながることも。

ワンポイント 風が通っているか、愛犬の目線でチェック。

愛犬が生活しているのは、人より低い目線。家具などが障害になり、愛犬がいる場所は空気がこもって暑い、なんてことがないよう、しゃがんで確認してあげてください。

6月以降

エアコンの設定温度が高めでも、扇風機で風を動かせばこもった空気が散っていき、空気が冷えやすくなります。

扇風機は、空気が動いていない空間へ向かって。

例えばエアコンとは反対側の天井のスミなどに向かって風を送ることで、空気が動きます。部屋全体がまんべんなく冷えるので、体感温度がかなり変わります。

ワンポイント 犬が暮らしやすい適温は25℃前後。でも、冷やしすぎは禁物。

お散歩時、外との温度差が激しいと体への負担がかかり、免疫力が下がって夏バテの元に。
できれば外気温との差は4℃前後にしたいところです。
そのためにも、扇風機をうまく活用しましょう。