健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

気になるけど、知らないお話 うちの子と長く暮らすために気になること

気になるけど、知らないお話 うちの子と長く暮らすために気になること
愛犬達の寿命は年々伸びています。
皆さんはうちの子に現れる兆候や対策はご存知ですか?
そこで、先輩飼い主さんや獣医師さんに詳しく聞いてみました。

先輩飼い主さんの声をご紹介♪
年齢を感じたあの瞬間!

手まで食べられそうに。
食べ物への執着心が強くなったのか、おやつをあげると私の手まで食べそうな勢いです。(シバ)

ソファに上る時に失敗!
今まで一回で簡単に上っていたのに、何回も失敗するように。(マルチーズ)

体を触らせません。
体のあちこちを触らせず、目薬も嫌がるようになりました。(ウエスティー)

夜の散歩でトラブルが・・・。
暗い時間帯だったからか、壁にぶつかりかけていました。目が悪くなったのかな?(Mダックス)

お散歩スピードが遅く・・・。
若い頃はスタスタと私の前を歩きましたが、10歳位から普通に歩くと追い越してしまうように。(ウエスティー)

トイレの失敗が増えた。
トイレの方まで行きますが、あと一歩のところで失敗・・・。排便時の踏ん張りも辛そうでした。(シーズー)

他にもこんなコメントが
●出迎えが減った。
●立ち止まった時に後ろ足がプルプル震えている。
●溝や段差、斜面にはまることが増えた。
●鳥に興味があったが、無反応になってきた。
●目が垂れてあどけない表情に。
●顔に白髪が増えた。

村田先生に聞いてみました!
高齢が原因?年をとってから触ると怒るんです。

年齢が原因と思われがちですが、実は痛くて嫌がっている場合が多いんです。一度、動物病院へご相談ください。「高齢で頑固になって名前を呼んでも反応がない」というお話も聞きますが、加齢により目や耳が悪くなって今までとれていたコミュニケーションがとりにくくなった可能性が。でも、おやつの袋の音など興味があることには敏感といった都合の良いところも犬にはあります。
わざと無視することはあまり考えられないのでご安心を。

これからのことを獣医師さんに聞いてみました
今は問題がなくても始めてほしいですね。
年を重ねた時のために。

お話 村田香織先生
もみの木動物病院・獣医師。同病院のしつけ教室でパピークラス、問題行動を持つ犬猫のカウンセリングも担当。株式会社イン・クローバー代表取締役。おうちでは8頭の犬猫に愛される飼い主さん。著書に『こころのワクチンー子犬に教える、人としあわせに暮らす方法ー(パレード発行)』

免疫力が落ちてくる将来の健康に備えて。

ペピイ 本誌の読者には4、5歳の犬の飼い主さまが多いので、今回はそんな皆さまが愛犬の将来に備えてできることを教えていただけませんか?

村田先生 やはり運動習慣と食事管理、そしてデンタルケアが大切です。高齢期の体を病気にかかりやすくしてしまう「肥満」と「歯周病」の対策になるんです。4、5歳の頃には症状はあまり目立たないので油断しがちですね。

ペピイ 気にされている飼い主さまは多いのでしょうか?

村田先生 いいえ、意外に少ないですね。しかし、できるだけ早くから必要性に気付いてケアを始めてあげることが大切。そのためには、体中を触れることがとても重要になってきます。

体に触れることでいろんな幸せを愛犬に与えられるんです。

村田先生 実は愛犬を触れることで肥満を始め、様々な健康チェックができます。肋骨付近に触れて脂肪で骨がわからない子は肥満の可能性が。また、犬は体の表面に腫瘍ができやすいのですが、毛が覆っているので見ただけではわかりません。しかし、触るだけでかなり変化に気付きやすくなれます。

ペピイ 触らせない子もいますが・・・。

村田先生 必要な時に急にできるようにはならないので、普段から少しずつ慣らしておいてほしいですね。
過去に足を出血しているのに触られるのを嫌い、患部をなかなか確認できないケースがありました。歯磨きや目薬が必要になった時も触られるのに慣れていると受け入れてくれやすいですよ。

ペピイ 慣らす方法はありますか?

村田先生 できるだけ若い頃から優しく触ってあげましょう。ごほうびを与えながら触ってもいいですよ。愛犬が食べ物に集中している間に体のいろんな部分を触り、体の感覚から慣らしてあげるんです。

ペピイ 慣れるのは大変ですか?

村田先生 子犬の間に慣らしておくことをおすすめしますが、4、5歳から始めるなら時間をかけてあげる必要はあります。でも、愛犬を触ることって楽しいですし、いつでもできることではないですか?

ペピイ 確かに!リラックスできますよね。

村田先生 触られるって本来、犬にとって気持ち良いこと。愛犬は気持ち良いことをしてくれる飼い主さんを好きになります。お互いの幸せな毎日のために欠かせないことなので、今すぐに始めてみてくださいね!

村田先生からメッセージ

多くの犬を診てきて思うこと
愛犬が喜んで病院に行く姿は飼い主さんの救いになっています。

病気で辛いのに、病院が嫌いなために悲鳴をあげたり、入院時にご飯を食べない愛犬の可哀想な姿を見て、飼い主さまが自分を責めてしまうことがよくあります。
愛犬は「病院は治療の場所」と理解していません。むしろ「怪しい人が押さえつけてくる怖い場所」と感じているのでは? 当院ではパピークラスやしつけ教室を始めて以来、喜んで来院する子が増えました。亡くなる直前まで嬉しそうに通ってくれた子もいたんです。病院で友達に会えたり、病院スタッフからごほうびやおもちゃが貰えたり、楽しい体験をすることで「病院は安心できる場所」と好きになり、通院のストレスが軽くなったのでしょう。かかりつけのしつけ教室があれば一度参加してみてはいかがでしょう。
いつか愛犬が病気になった時、楽しんで病院に行けることが愛犬の喜びとなり、飼い主さまを勇気付けてくれる大切なことになると思います。