健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

フレー!フレー!動物看護師さんNo.2

フレー!フレー!動物看護師さんNo.2

受付から獣医師さんのサポート、飼い主さんへのアドバイスまで、様々な役目を果たす動物看護師さん。飼い主さんと動物たちのために、日々奮闘する姿について、動物看護師長として後輩指導も行っている徳山亜希子さんにお話をお伺いしました。

倉吉動物医療センター・山根動物病院
動物看護師長 徳山亜希子さん

動物看護師の一番の役割は、飼い主さんと獣医師の「橋渡し」です

動物看護師は「病院の顔」といわれるように、受付で飼い主さんとワンちゃん、ネコちゃんたちをお迎えするのも、お電話を受けるのも私たちです。ですから、新人の看護師さんには、いつも笑顔を心掛けること、そして、いつ容体が急変した動物が連れてこられるかも分からないので、飼い主さんのお話をよくお聞きして、どんな場合でも、親身になって応対することの大切さを伝えています。

動物看護師の一番の役割は、飼い主さんと獣医師の「橋渡し」です。そのため、飼い主さんが何を求めておられるのかを、動物たちの様子を見ながら飼い主さんの想いをよく理解して、担当の獣医師に伝えています。また、獣医師のお話が専門的すぎて分かりづらいときには、なるべく分かりやすく飼い主さんにお伝えしています。

私自身、この病院に勤めて20年で、ほとんどの飼い主さんとは、ワンちゃんやネコちゃんたちの飼い始めからの長いお付き合い。ですから、「うちの子をずっと看ている人が看護してくれて、とても安心です」と言っていただけることがうれしいですね。

診察や検査、治療などのサポート業務が多く、専門的な知識、技能の習得が欠かせません

飼い主さんがワンちゃん、ネコちゃんと診察室に入られると、私たちは獣医師のサポート役として動物の体重や体温を測ったり、簡単な問診を行ったり、獣医師の指示にしたがって血液検査や尿検査、便検査、エコー検査やレントゲン検査のお手伝いをします。また、手術のときは必要な手術器具の準備を行い、術後は入院動物のケアをしています。獣医師が処方したお薬を準備するのも大切な役目の一つです。

診察や検査、治療をサポートする重要な仕事が多く、ミスは許されないため、最新の獣医療や検査機器、手術機器など、つねに新たな専門知識や技能の習得が欠かせません。現在、「動物看護師」を公的資格化する動きが国や獣医療関係者のなかで、進みつつあります。それは、飼い主さんが安心できる動物医療をご提供する上で、大切な役割を期待されているからであり、今後、いっそう高い技能と知識、経験が求められていくことになると思います。

毎月の勉強会やパピーパーティの運営、飼い主さん向け「ひげ通信」の発行に取り組んでいます

当院では月に1度、系列病院の動物看護師と一緒に、毎回テーマを決めて勉強会を開いています。前回の勉強会では、ズーノーシス(人と動物の共通感染症)について、私が発表しました。発表者は当番制で各自が業務の中で感じた「知っておいた方がいいこと」をみんなで共有し、全員の経験値を高めることを意識しています。内容は専門的な獣医療のことから、「パピーパーティ」の進め方についてなど様々です。

パピーパーティは、昨年から始めたばかりで、当院ではすべて看護師に任されています。運営方法なども自分たちでいろいろ調べ、飼い主さんのご意見も取り入れながら、一から作ってきました。まだまだ発展途上ですが、参加いただいた方の楽しそうな姿を見るとうれしく思いますし、何より飼い主さんと接する機会が増え、これまで以上に声を掛けていただけるようになり、飼い主さんとの距離が縮まったようにも感じます。日頃の様子をお聞きすることで、飼い主さんが見過ごしているような病気や異常のサインに気づくこともあり、コミュニケーションの大切さを改めて感じました。

他にも、私たちはこの春から飼い主さん向けに「ひげ通信」というフリーペーパーを作っています。飼い主さんにも私たち病院のこと、スタッフのことを知っていただきたいという思いから始めました。年4回発行で、季節ごとの病気予防やスタッフ紹介などの記事が中心です。飼い主さんの反応がすごくいいので、みんな張りきっています。

学会の年次大会で、動物看護師が病院での看護や管理業務などについて発表しています

当院の動物看護師にとって、重要な研鑽の場になっているのが、当院が所属する公益財団法人動物臨床医学研究所主催の「動物臨床医学会年次大会」での発表活動です。毎年、輪番で当たった発表者を中心に、特定疾患による入院動物の看護時の注意点や、病院でのフードなどの発注や在庫管理の工夫、家庭での老齢犬対策についてなど、日頃、自分たちが経験しているテーマを掘り下げてまとめ上げ、全国から集まった獣医療関係者の前で発表します。

こういった勉強会や大会発表などがあることで、日々の勉強にも緊張感をもって取り組めます。飼い主さんから信頼され、相談に対しても適切なアドバイスができる看護師になるために、私自身も自己研鑽の毎日です。動物たちが元気になったり、悩みが解消したときの「ありがとう」という感謝の一言が励みになります。

  • 受付では、飼い主さんのお話をよく聞き、親身に応対。

  • 診察室では、診察や検査がスムーズに行えるよう、獣医師をサポート。

  • 獣医師が処方したお薬を準備するのも大切な仕事の1つ。

倉吉動物医療センター・
山根動物病院

鳥取県倉吉市八屋209-1
院長 : 高島一昭先生
農林水産大臣指定小動物臨床研修診療施設認定病院。最先端医療に取り組み、地域の獣医療向上のための基幹施設の役割を担っています。