猫が下痢をする7つの原因

愛猫の体調不良でよく見られるのが「下痢」。
単なる食べ過ぎから、命に関わる危険な病気まで、下痢症状を示す病気は多種多様です。
危険なサインを見逃してしまわないよう、どんな病気の可能性があるのか知っておきましょう。

原因1.食事
いつもと違うものを与えなかったかチェック

猫には食いだめの習慣はないため、犬のように食べ過ぎで下痢になることはありません。日常的に見られる下痢は食事によるものがほとんどであり、主な理由は次の2つになります。

・フードを変えた
・人用の食事を与えた

特に人用の食事では注意が必要です。

例えば、猫は小腸での乳糖分解酵素(ラクターゼ)の分泌が少ない、乳糖不耐症である事が多く、牛乳や乳製品で下痢になることがあります。

また、猫は肉食動物なので、野菜の消化が苦手で、良かれと思ってトッピングした野菜が原因になる事もあります。

このように、人に良いとされているものをあげても、下痢になってしまうことがあります。
ただ、たとえ下痢をしたとしても、元気で吐き気もなければ一過性のものと考えられるため、それほど心配はいりません。

元気なのに下痢をしてしまったときは、思い当たる原因がないか、前日から当日にかけての食事を振り返ってみてください。

原因2.細菌感染
物が腐りやすい季節はとくに注意!

腸炎の原因となる細菌は様々ですが、サルモネラ菌やカンピロバクター菌などが主な原因菌です。

これらの菌に汚染された食べ物や水を口にすると、腸内で菌が増殖し、腸粘膜にダメージを与えます。さらに炎症を引き起こし、下痢や腹痛、時に嘔吐や発熱を伴うこともあります。

腸炎の場合は、通常1週間程度の抗生物質の投与で治まります。

健康な状態でも約10%の猫は保菌しているといわれ、体力や免疫力が低下した状態だと、汚染された物を口にしなくても発症することがあります。

原因3.ウイルス感染
ワクチン接種での予防が一番の対策

猫には様々なウイルス感染症があり、発熱、下痢、嘔吐、元気消失などの症状を示すものは少なくありません。

なかでも激しい下痢や血便、嘔吐、高熱を示すのが「猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス感染症)」です。血液検査で白血球の極端な減少が見られるのが特徴で、非常に致死率の高い病気です。

ウイルス感染症に対する特効薬はなく、下痢による脱水症状を改善するための輸液療法、免疫力を高めるためのインターフェロン投与、細菌による二次感染を防ぐ抗生物質投与など、支持療法や対症療法が中心となります。

猫汎白血球減少症にはワクチンがあるので、定期的なワクチン接種による予防が最も効果的な対策です。

原因4.寄生虫感染
子猫は重症化しやすいので、必ず駆虫を

次の項目のような、“お腹の虫”の寄生によっても、下痢や栄養不良、貧血などを起こします。

・回虫
・鉤虫(こうちゅう)
・瓜実条虫
・イソスポラ(コクシジウム)
・ジアルジア など

特に子猫は重症化しやすいため、飼い始めたらすぐに動物病院で検査を受けましょう。

瓜実条虫以外は、虫卵などを含む感染猫の糞便から、瓜実条虫はノミが媒介します。なお、回虫は母猫からの母乳感染もあり、外出したことのない子猫でも感染していることがあります。駆虫薬の投与で治療します。

※寄生虫は、ペットから人へ感染することもあります。3ヵ月に1回の定期駆虫が推奨されます。

原因5.慢性膵炎(すいえん)
自らの消化酵素で自分を消化してしまう病気

膵炎は、本来腸管内に分泌されて働くはずの膵液が、何らかの原因で膵臓内で活性化し、膵臓自体が消化されて炎症を起こす病気です。

膵炎には急性と慢性があり、急性膵炎では、発熱や激しい腹痛、下痢や嘔吐などが見られ、重症化すると呼吸困難やショック症状を起こし、膵臓が壊死して死に至ることもあります。

慢性膵炎は、急性ほど激しくはありませんが、下痢や嘔吐、食欲不振など急性膵炎と似たような症状が続き、次第に体重が減少してきます。長期化すると膵臓が徐々に破壊され、インシュリンが分泌できなくなって、糖尿病を発症することもあります。犬に比べて猫の膵炎は無症状のまま進行していることも多く、見つけにくい病気です。

膵炎の治療は、症状に応じて輸液療法とともに、制吐剤や鎮痛剤、抗生剤などの投与を行います。また短期間の絶食後に、経腸チューブで栄養補給を行うこともあります。慢性の場合は、低脂肪食の食事療法で症状をコントロールしていきます。

原因6.IBD(炎症性腸疾患)
自分の腸を攻撃する原因不明の自己免疫疾患

原因不明の慢性的な下痢や嘔吐のなかで、最も多いといわれるのがIBD(炎症性腸疾患)です。

IBD(炎症性腸疾患)とは、自分の免疫で自分の腸を攻撃してしまう病気で、腸粘膜が炎症を起こして栄養分を十分に吸収できなくなります。進行すると、腸粘膜からタンパク質がどんどん漏れ出し、腹水がたまったり低タンパク血症を起こすこともあります。

原因は明らかではありませんが、遺伝性、食物アレルギー、細菌感染などの複合的な関与が疑われています。IBDは消化器型リンパ腫との識別が難しく、確定診断のためには病理検査が必要です。

症状が軽ければ、低アレルゲン食による食事療法だけで改善することもあります。
症状が治まらない場合は、食事療法と並行して、ステロイド剤、抗炎症剤、抗生物質などを投与して炎症を抑えます。

完治は難しく、食事療法と服薬で様子を見ながら症状をコントロールしていくことになります。

原因7.消化器の腫瘍・消火器型リンパ腫など
下痢以外に、食欲不振や体重減少に注意して

胃、腸、肝臓などの消化器系の悪性腫瘍(がん)、消化器型リンパ腫などでも、慢性的な嘔吐、下痢、血便などの症状が見られます。

また、悪性腫瘍には共通して、食欲不振、体重減少、元気消失などがサインとして現れるので、愛猫がシニア期になれば、下痢だけに注目せず、全身の様子にも気をつけてください。

猫白血球ウイルスに感染している猫はリンパ腫を発症しやすいので、愛猫がキャリアの場合は特に注意が必要です。

消化器系の悪性腫瘍はレントゲン検査や血液検査では診断が難しく、超音波検査(エコー)や内視鏡を用いての生検(バイオプシー)が必要になることもあります。治療は、腫瘍の部位や進行度合いなどによって、外科手術、抗がん剤投与、放射線治療などが選択されます。

下痢・軟便のときは、便をラップに包んで病院へ持参しましょう。


(ドクターズアドバイスペピイ2014年春夏号掲載)

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