やまぎわ先生のなるほど動物講座 動物と人とがより良く暮らせる社会作りのために現在進められている行政情報等を、獣医師として臨床体験、動物病院開業の経験を持つ衆議院議員やまぎわ大志郎が、皆様に分かりやすくお知らせします。

2007年6月号 狂犬病から人も犬も守るために。

昨年平成18年は、フィリピン滞在中犬にかまれ、帰国してから狂犬病を発症し死亡する事例が続きました。狂犬病は狂犬病ウィルスによって引き起こされる感染症で、罹患した犬が中枢神経性の症状を呈し、狂ってあたりかまわずものに咬みつくことから、日本では「狂犬病」と呼ばれています。狂犬病に罹った動物(犬だけに限りません)に咬まれることによって人間にも感染し、咬まれてすぐにワクチン接種と治療を行えば助かりますが、発症してしまうと100%死亡する恐ろしい病気です。ただし人間から人間には感染しません。日本では狂犬病に罹る動物が圧倒的にイヌであったためイヌの病気と思われがちですが、実は全ての哺乳類に罹る病気であり、北米ではリスやアライグマ、南米では吸血コウモリ、ヨーロッパではキツネ、アフリカでは野生動物全般に広がっています。日本では島国であることとイヌへのワクチン接種を義務付けた施策が功を奏し、1956年に最後の症例が報告されて以来国内起源の発生は抑えられていますが、世界に目を転じれば狂犬病の清浄地は一部の島国だけであり、今尚年間5万人以上の死者が出ている恐ろしい人と動物の共通感染症です。

狂犬病予防法の遵守と再度の啓蒙の必要性

イヌに咬まれたらまず狂犬病を疑えという意識はもはや私たち日本で生活する人々にはありません。昨年の不幸な狂犬病発生事例は、狂犬病を過去の病気として捉えてしまいその恐ろしさを忘れ去っていたことに起因して起きたといえます。ここでもう一度狂犬病は発症すると100%死に至る恐ろしい病気であり、だからこそ狂犬病予防法という特別な法律をわざわざ制定したという歴史的経緯を思い出し、この法律の遵守を広く啓発しなくてはいけません。

狂犬病予防法ではイヌを飼育するものは、保健所に飼い犬登録をし、1年に1度狂犬病予防ワクチンを飼い犬に接種させる義務を国民に課しています。現在日本には飼い犬が、ペットフードの販売量から計算すると、1200万頭以上いると推定されていますが、実際のイヌの登録はわずか600万頭ほどにとどまっています。すなわちイヌを飼っている人の半数は狂犬病のワクチン接種を受けさせていないということになるのです。そして多くの愛犬家たちは「日本には狂犬病はもうなくなったんだから、わざわざ可愛いうちの子に痛いワクチン接種なんてしなくてもいいだろう」と思っています。しかし疫学のデータが示しているものは、集団の七割以上が免疫を有していないと、感染症の爆発的な発生を止められないという事実です。もし今、日本に狂犬病が入ってきたら、あっという間に感染が広がり自分の愛犬が狂犬病で命を落とす可能性があるだけでなく、飼い犬登録されていない愛犬はすべて殺処分になる可能性すらでてくるのです。本当に犬を愛するのなら責任をもって法を遵守すべきです。

天災(感染症)は忘れたころにやってくる

昨年の狂犬病は数十年ぶりに日本に入ってきたものですが、これ以外最近話題に上ったものだけでもSARS(重症急性呼吸器症候群=新型肺炎)、鳥インフルエンザ、BSE(牛海綿状脳症=狂牛病)など、私たちの生活を脅かす感染症は数多く存在します。しかし私たちはそれらの病気が発生したときのみ右往左往し、発生が収まると忘れてしまいます。そして先人の言うとおり「天災(感染症)は忘れたころにやってくる」のです。

かくして昨年は影を潜めていた鳥インフルエンザが、韓国で発生し4日間で6千羽のニワトリが死んだとの報道がなされました。鳥インフルエンザもヒトの新型インフルエンザに変異する可能性が高い、非常に危険な感染症です。狂犬病の発生という自然からの警告を見逃すことなく、私たちは過去の教訓を活かし、注意を継続させることにもう少し力をいれ、対策を怠らないようにすべきだと考えます。

やまぎわ先生のなるほど動物講座

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プロフィール

命を大切に人も動物も安心して暮らせる社会を やまぎわ大志郎
獣医学博士、自民党神奈川県18区(川崎市高津区宮前区)選出の衆議院議員、365日政治に取り組んでいます!
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