ペット用品通販 ペピイ > コラム・エッセイ> 浪速のドッグトレーナー 犬もゴリラも「退屈」が一番キライ?

先日テレビを見ていたら日本の動物園のオスのゴリラの話をしていました。何やらその動物園のオスのゴリラはお嫁さん候補のメスのゴリラを一緒にすると一日中執拗に追いかけまわし、結局恐がらせてしまって、仲良くなる事が出来ず一度も出産に成功した事がないそうです。それ以外でもお客さんに糞を投げつけたり、時に好戦的であったりと多くの問題を抱えていました。
心配した飼育員さんはその状態を何とか出来ないものかとヒントを求めて単身アメリカのある動物園を訪ねました。そこで見た光景はゴリラ達が自然に近い環境でとてもリラックスし、メスのゴリラは毎年のように身ごもり、ボスのゴリラを中心に回りには何頭かの子供のゴリラが無邪気に走り回っているとても日本では考えられない光景だったのです。それを見た飼育員さんはこの自然に近い環境を作る事こそ重要なのだと思いました。
確かに日本の動物園のゴリラゾーンは床も壁も回りが全てコンクリートで、多々あった遊び道具も、下に敷く藁でさえも掃除がしにくい、不衛生であるという理由で取り除かれて行ったのです。ちょうど危険だから不衛生だからと、どんどん遊具や砂場が無くなっていく日本の公園のようですね。
しかしアメリカの飼育員がその時言いました。
「確かに環境は大事です。しかし、もっと大事なことは他にあります。それはゴリラを退屈させない、常に忙しくさせておく、その事が最も重要で、いくら環境をそれらしくしても動物園に所詮、熱帯の広大な密林は作れない。」との事でした。
つまり日本のゴリラに起っているイライラなどの様々な問題行動の多くはストレスからきていて、ストレスの最大の原因は「退屈」からだという事なのです。アメリカの動物園も以前は日本同様で、そこから「ゴリラを退屈させるな!」をスローガンに様々な取り組みが行なわれたそうです。
その最大の原因は食事の与え方にありました。野生のゴリラは誰かが食事を用意してくれる訳ではありませんし、時間が決まっている訳でもありません。自分の足で密林を移動し、自らの力で見つけなければなりません。それは野生のゴリラにとって生死に関わるとても大切な行動です。しかし、それだけに食事に在りつけた時の幸福感は一塩でしょう。アメリカの飼育員さんが日本の飼育員さんに最も伝えたかったのはこの事だったのです。
アメリカのその動物園では簡単に食事を与える事はしません。与え方に様々な工夫がなされています。例えば高い木の上にバナナを引っ掛けたり、わざと深い茂みの中に投げ込んだり、時には大きな木の下に隠したり、木片に開けられたいくつもの穴にレーズンなどを埋め込んだりと・・・するとちっぽけな木片が最も集中できる遊び道具に早変わりです。例えばある一匹のゴリラが枝を使ってほじくりだすことに成功すると他のゴリラも真似をして、そこに枝を使うという文化がゴリラ達の中に生まれました。そうして徐々に動物園のゴリラは動物園という限られた環境の中でも本来の温和な姿を取り戻して行ったのです。
アメリカのゴリラ飼育員が掲げた「ゴリラの多くの問題行動は退屈によるストレスから始まる。」「ゴリラを退屈させるな!」この事から始まったゴリラ・プロジェクト。この話からあなたは何を学びますか?もしかして、あなたのワンちゃんは一日中退屈してはいませんか?問題行動をただ犬だけの責任にはしていませんか?もう一度「愛犬の暮らし」を犬の立場で考えてみましょう。
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