このコどんなコ

第2回 アイリッシュ・ソフトコーテッド・ウィートンテリア

アイリッシュ・ソフトコーテッド・ウィートン・テリアを初めて知ったのは、わが家の次女・ココアの妹弟となるワンを探していたときのことです。

心も身体もちょー強靭なココアの、よい遊び相手となるワンと考えたとき、条件は自ずと絞られていきました。まず、精神的に強く、かつ、陽気で明るく、何ごとも根に持たない性格であること。口うるさい姉さんを笑ってかわして、けろっとしていられるようなコという意味でです。また、ココアと一緒に遊べるだけのタフな肉体の持ち主ということで、ココアと同じくらいか、やや大きめの体格のコが良いと考えました。

こうして浮かび上がってきたのが、大きめのテリア種のワンコたちでした。ソフトコーテッド・ウィートン・テリア、ケリーブルー・テリア、アイリッシュ・テリア、エアデール・テリア。奇しくも、前3犬種はルーツを同じくするアイルランドのテリアです。この中で、最終的にはエアデールがわが家の末っ子となったわけですが、私が最も惹かれていたのは、実はソフトコーテッド・ウィートンテリアだったのです。(ごめんよ、クリオ〜。)

アイリッシュ・ソフトコーテッド・ウィートン・テリアはその名のとおり、全身をやわらかなふわっふわの毛で被われています。そのやわらかさは、実際に触ってみると思っている以上で、普通のワンコのアンダーコートのようです。やさしい小麦色の被毛は、見ているだけ、触れているだけで心和ませるものがあります。
しかし、その性質は決してヤワではありません。

アイルランドのテリアたちの起源ははっきりとはわかりません。アイルランドの人々はその伝統を口述で伝えることが多かったため、貧しい人々や小さな農場主の犬であったテリアについての記述はあまり残っていないのです。しかし、小麦色の被毛を持つ脚長のテリアは、およそ200年ほど前から存在していたようです。

アイルランドのテリアたちは貧しい農民の万能犬でした。農場での厳しい生活に耐えうるよう、頑丈な身体を持った頭の良いイヌが必要とされていました。さまざまな仕事をこなすのにじゅうぶんな体格が必要でしたが、養うのに費用がかかるので、大きすぎないということも大事な条件でした。

彼らは害獣をやっつけ、食糧の貯蔵庫を守り、牛や羊の番をし、侵入者を追い払うため農場のパトロールもしていました。また、アナグマやカワウソ猟にも使われていたようです。

1870年代になって、アイリッシュ・テリアが初めてショーに出陳されました。とはいえ、当時はまだ、同じくらいの大きさのテリアはすべてアイリッシュ・テリアとして出陳されていたため、脚の長いもの、短いもの、被毛のやわらかいもの、硬いもの、顔の形も細長かったり太かったりいろいろで、中には雑種も含まれていたようです。もちろん、被毛の色もさまざまでした。

その後、1914年から1922年の間に、 ケリーブルー・テリアが犬種として確立されました。

ウィートン・テリアはなぜか他の2つのテリアのように注目を集めることはなく、やがて、時代が変わって、旅が容易になり、多くの純血種のイヌが減りゆく中、この犬種もまた消えゆく運命かと思われました。

1932年、転機は訪れました。テリアのフィールドトライアルで飛び抜けてよい成績をおさめたウィートン・テリアに感銘を受けたケリーブルーの愛好家が、この犬種を絶滅から救う決心をしたのです。彼は友人とともにウィートンのクラブを発足させ、アイリッシュ・ケンネル・クラブから犬種としての承認を得るための努力を始めました。
そして1937年、晴れて犬種として承認されたアイリッシュ・ソフトコーテッド・ウィートン・テリアは、その年のSt. Patrick Dayのショーで初めて公に紹介されたのです。

このように、長い歴史を誇る、強く賢い中型犬、それがアイリッシュ・ソフトコーテッド・ウィートン・テリアなのです。

でも、実際に会ったウィートンくんは、ちょっと違っていましたけどね。
次回はマルヤマが夢見た組み合わせ、スタンダード・シュナウザーの弟分として暮らすウィートン・テリアのティールくん宅を訪ねます。お楽しみに!

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