ペット用品通販 ペピイ > コラム・エッセイ> 極楽いぬ生活 新しい朝

朝、生き物は喜びに満ちている。バッタも、ヘビも、とんびも、ネコも、そして、もちろんイヌも。みんな今日目覚め生きていることを、考える間もなく喜んでいる。身体と心の底から。朝のイヌはみんな子イヌのようだ。芝生の上を駆け回り、生きる喜びを全身で表現していたあの頃のようだ。人間だってそうだ。朝、空が気持ちよーく晴れていたりすれば、解決していない厄介な問題があったって、つい一瞬忘れていたりする。生き物にとって、朝ってそういうものなんだと思う。
さて、そんな喜びに満ちたヤツが3匹もいる、わが家の朝は賑やかだ。ていうか、はっきり言って大騒ぎ。3匹それぞれがうれしくて仕方ない。その上、ひと晩ぐっすり眠った身体はエネルギーを持て余している。3匹が三様にその喜びを表現する。身体で。私に対して!そりゃもう幸せで、迷惑この上ないひとときだ。朝、目が覚めたココアは、まず、ざらざらの肉球をバンッと私の額に置く。起きろの合図だ。そして、その後なめたおす。ココアはなめるの大好き。なめさせないとご機嫌斜め。(でも、なめられるのは大嫌い。)それから、「ガウガウガウ、ガウガウガウ、ぐるるるるる、うう〜〜〜ん。」とワケのわからない声をあげながら、チーズの芳香漂うおヒゲをすりつけてくる。このとき私はココアの全身をマッサージして応えてあげなければいけない。
クーの喜びの朝はゴンっ、ごりごりごりっで始まる。まずは、あのバカみたいにカタイ石頭を高い位置から私の顔辺りにゴンっと落とす。本当に落とすのだ。コワイわよ〜。額に入ると頭がい骨にひびが入ったかと思うし、喉に入ったときには息ができなくて、目覚めから死ぬ思いだ。それから、その石頭をごりごりごりと押しつけてくるのだ。激しく。イヌの骨ってなんて硬いんでしょうと毎朝思う。が、彼は痛くもかゆくもないらしく、毎朝これを繰り返す。これが別々に行われればまだいいが、毎朝右から左から、同時に行われるから大変だ。ヒゲと石頭がより私に近づこうと場所取り合戦を繰り広げる。互いに相手と私の間に鼻先をねじ込み、
身体を割り込ませ内側の場所を取ろうとする。
その後、ふたりは階段を下りる順番を争う。クーはココアを先に行かせまいと牽制し、ココアはそれにイライラしてうなる。そして、階段を下りようとする人のスリッパを取りつつ、揉み合いながら一段飛ばしくらいで階段を転げ下りて行く。ここまでが一連の儀式。
この間、うらんはまだ寝ているふりをしている。へたに起きようもんなら、えらいめに合わされるのがわかっているからだ。さんざんひげと石頭をこすりつけたふたりが、全速力で駆け下りて行ったのを見計らって、ゆっくり挨拶にやってくる。尻尾をぶんぶん回しながら。静か〜に。というのも、少しでも音を立てようもんなら、ヒゲと石頭が全速力で駆け上がってきて、前から後ろからマウンティング攻撃をされるに決まっているからだ。それから、私はゆっくりと階段を下りる。「やめてよっ!もぉぉぉっ。バカイヌぅぅっ!」と怒鳴りながら。だって、ヒゲと石頭が階段を下りる私の足を引っぱりにくるんだもん。
これがわが家の新しい朝。喜びに満ち、幸せで、賑やかで、やかましくて、体力を消耗し、過酷な朝。こんなのが早朝から繰り広げられた日にゃ、近所迷惑もはなはだしいでしょう? だから、私は早起きはしないことにしている。起きられないのではなく、仕方なく起きないようにしているのだよ。ホントだよ。
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