うらんは初めての大型犬だったので、私たちのしつけも厳しかった。キッチンに入ることは禁止されていた。いけないと言われれば入りたくなるものだ。隙を見て入ろうとするのだが、そのたびに「出なさいっ!」と叱られる。しかし、クーはニコニコしながら何気な〜く入ってきて、黙ってニコニコ座っている。ふと振り返ったオカーサンと目が合う。「あらぁクーちゃん、そこにいたの〜。笑ってるの〜。どうしたの〜?なんかほしいの?」 そして、なんかいいもんもらえたりする。
世の中、笑っていれば大概のことはうまくいくって本当なんだぁ、と、クーを見ていて学ぶ。また、主張が強い、うるさい者に対しては、人は折れるものなんだなぁ、と、ココアを見ていて学ぶ。やっぱり、必要なときには前に出なければと。主張しないうらんは今も何でも後回しだ。下の2頭が先を争ってうるさいので、どうしてもそちらが優先になる。黙っていちゃ損をする、と、うらんを見ていて学ぶ。

ところが、当のうらんもそう思ったのだろうか。最近主張をするようになった。前に出ようとするようになった。ワタシもワタシも、撫でて撫でて、連れてって連れてって、ちょうだいちょうだいって。ココアと2頭のときは、黙っていても関心と労力の3分の1くらいはまわってきた。でも、3頭になったら、ガウガウココアとニコニコクーに手を取られ、うらんに払われる関心と労力は10分の1くらいになった。主張しなければ何も手に入らないと気づいたのだろうか。積極的に甘え、要求し、誘うようになった。しかし、慣れない者が急にそんなことをするもんで、どうもうまくいかなくていけない。家族には「どーしたん?うらん?ボケたんか?」といぶかしがられ、ココアからは厳しいチェックを受ける。「アンタ、何ゆーてんのよ〜!」って。クーは言わずと知れたニコニコマウンティング攻撃だ。それでも、うらんはがんばっている。前へ前へ。ワタシワタシ。ニコニコニコ。必要はイヌを変えるのだ。ヒトももちろん変えるだろう。イヌから学ぶことは多い。 |