極楽いぬ生活

術後の彼

前回、クーの去勢手術のことをお話したので、今回は手術後の彼の様子についてお話ししよう。


 手術翌日、病院に迎えに行ったときのクーは、いつものような勢いはなかったものの、それなりにニコニコと元気そうだった。が、家に帰ってひと眠りした後に少し様子が変になり、それから3日間、私たちはとても不安な日々を過ごすことになった。これを書いている私の隣で、足のなが〜いバカが大騒ぎしている今となっては、心配しすぎの飼い主の笑い話にすぎないが…。
 先生から3日ほどは寝て過ごすだろうということは聞いていた。しかし、クーは寝るでもなく、起きるでもなく、立ったままただじーっとしていた。目は開いているけど、どこも見ていない、いや、見えていないようだった。わかりやすく言えば、立って目を開いたまま眠っているような状態だった。呼んでもほとんど反応はない。ときおり、外を通る車のライトやテレビの光に驚いたように振り向いた。1日目は深夜まで嘔吐も繰り返した。心配なので病院に電話して聞いてみたところ、「去勢手術後に嘔吐したり、ぼんやりとボケたようになるという症状はあまり例がない。麻酔は短時間で体外に排出されるものを使っているので、麻酔のせいではない。可能性としては、麻酔の前に使用した鎮静剤がまだ体外に排出され ずに残っているのではないか。」ということだった。鎮静剤は脂肪とともに排出されるので、脂肪の少ないイヌの場合すぐには排出できず、長く体内に残ってしまうことがあるそうだ。確かにクーは運動量がココアの倍以上なのに(これは普通のワンの3倍の3倍くらいって意味!)食はとっても上品で、まるでトップアスリートのような身体つきだった。嘔吐に関しては「去勢手術をしただけで、胃や腸を触ったわけではないので原因がない。精神的なものではないか。様子を見て、ひどくなるようなら、いつでも連れてきてください。」とのことだった。先生がとてもはっきりと自信を持って言いきってくれたので、症状に変わりはないものの、いくらか気持ちに余裕ができて、しばらく様子を見ようという気になった。


 翌日には嘔吐はなくなったが、ぼんやりは続いていた。手術前のバカ元気な様子を思い出すと「えらいことしたな〜。」と思い、このまま治らなかったらどうしようと不安になった。去勢手術のメリットはじゅうぶん承知だし、クーの場合は陰睾丸だったので必要な手術でもあった。でも、イヌにしてみれば病気でもないのにお腹を切られて、迷惑な話には違いない。父はそんなクーを心配しつつ、『恍惚の人』と呼んで笑っていた。客観的すぎると思うのだが、言い得て妙、だった。
 こうして重〜い3日間を過ごし、4日目から回復の兆しが見えてきた。ぼんやりの時間が減り、好きなおもちゃの名前を言うと探そうとした。外に出るとさらに元気になり、目の焦点も合い、生気を取り戻した。「どうやら大丈夫そうだ。よかった。」と、喜んでいられたのはつかの間。治り始めるとそこはYOUNG DOG。その後の回復の早いこと早いこと!5日目には元通り、6日目には前より元気になった。去勢手術をするとおとなしくなると聞いていたので、「そうなったらいやだなぁ。」と思っていたのだが、そんな心配は杞憂もいいとこ。むしろ、術前よりパワーアップした。それもどうかと思うけどさ。

 今度は抜糸までの残り4日間、傷口が開かないようおとなしくさせるにはどうしたらいいか、頭を悩ませなければならなかった。隣にはガウガウココアもいるしね。
 そして現在、彼は手術前以上に陽気で愛らしく、皆に愛されまくっている。しかも、ココアにうっとうしがられるほど元気で、食欲も旺盛で、かといって太りもせず、トップアスリート並みの身体を保ち続けている。また、術前はいつもウンチがやわらかめだったのだが、それもお手本のようなよいウンチになった。シーズンを迎えたココアにも無関心だ。(でも、なぜだかシーズンでも何でもないうらんにはラブラブなのよね〜。)腫瘍のリスクも減ったし、終わってみればいいことばかりで言うことなし!
 ただ、ひとつ気になるのは、もうすぐ2歳になるのにちっとも成犬ぽくならないというか、ますます子どもらしさを増している感じさえすること。やっぱり鎮静剤か何かでちょっとやられちゃったかも、な〜んて思ったりもする。でも、いいの。かわいいから。

 
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プロフィール

マルヤマ ユーコ
イラストレーター
うらんとココアとクリオの姉(自称)
クリオ(愛称クー)
エアデール・テリア
オス♂ 4歳
愛されるために生まれてきた、わが家の末っ子長男。3歳をすぎても相変わらずのお日さま犬ぶり。性格のよさはピカイチ。
ココア
スタンダード・シュナウザー
メス♀ 6歳
何事につけても白黒はっきり、0か100かの極道の妻、いや、犬。3年半を過ぎて、ようやく少し落ち着きを見せはじめた。ただし、家の中限定。実はものすごい頭がいい。でも、使い方を間違うの〜。
うらん
ゴールデンレトリバー
メス♀
2006年1月、お星様になる。やさしくて大らかでちょっとシャイだけど、かなり強気なわが家の長女

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