ペット用品通販 ペピイ > コラム・エッセイ> セントラルパークは今日も晴れ その6●犬や猫たちを守るASPCA

<大沢>前回のデイケアセンターのお話、とても面白かったです。やっぱり日本に比べて社会自体が進んでいるんですね。
<山下>そうですね。飼い主さんのワンちゃんへの意識や社会の環境、取り組み方も違いますね。でも日本と同様にとても残念なことがあるのですよ…。
<大沢>日本と同じように残念なこと…、どんなことですか?
<山下>実は、ここマンハッタンでも、捨て犬、捨て猫が深刻な問題になっているんです。アメリカだから、犬を愛する国だから、そんな問題には縁が無いと思われている方もいらっしゃるかと思いますが、現実はそうではありません。
前回もお話しした様に、アメリカンピットブルやロットワイラー、ブルドック、ボクサーなどのパワフル系のワンちゃんが多いマンハッタン、当然これらのワンちゃんは通常の愛玩犬とは異なり、強力な番犬でもあるが故に、一歩間違えば、他の人だけでなく、飼い主さんをも襲うという攻撃性と危険性を常にはらんでいます。万一、飼い主さんの手に余ってしまったこれらのワンちゃんは捨てられる事を余儀なくされるのです。このような場合も含め、多くの犬や猫たちが、アメリカでも現実に捨てられています。
そんな飼い主さんに見放された犬や猫たちは、最終的に動物愛護団体によって保護されるのですが、今回は、その中でももっとも組織化され、古い歴史を持つ、ASPCAのお話を紹介しましょう。
NYにある動物愛護団体ASPCA(The American Society for the Prevention of Cruelty to Animals)は、スタッフと多くのボランティア、そして寄付金によって運営されている動物愛護の非営利団体組織です。動物の保護、教育、福祉問題をはじめとし、シェルター施設、里親探し、動物病院、レスキュー活動、動物の生活向上のための指導やドックトレーニング等の活動も行っています。またASPCAには専属の警官(動物保護官)が配置されており、法律に基づいて動物虐待や動物が関係するトラブル、無責任な飼い主などを取り締まっています。
ASPCAの立派な建物です。NYでは大金持ちがいて、すごい寄付をするので、こんな建物が建っちゃいます。
また、日本と違い寄付が税金免除の対象になるので同じ税金を払うなら、報われない犬猫に・・・と考えるのでしょう。
マンハッタンのアッパーイーストサイドに本部があり、そこにはシェルター施設や付属の動物病院があります。シェルターには常時数十匹の犬猫たちが保護されていますが、獣医師によって健康管理もなされており、里親捜しの窓口にもなっています。
ここにいる犬猫たちのほとんどは不妊手術を済ませています。これについてはこちらでもいろいろな意見があるようですが、健康面での利点と、安楽死処分の数を減らすためにも有利な手段と考えられています。
その他、ボランティアやスタッフにより散歩やトレーニング(犬)、ソーシャライジング(専用のお部屋で遊ぶ)など、犬や猫たちの環境や精神面でのサポートも考えられています。また、ボランティア活動はとても盛んで、里親探し、ファンドレイジング(寄付金集め)、イベントやその他の運営事業の手伝い、動物達のお世話など広い範囲にわたって活躍しています。
ここに保護されている犬や猫たちには、品種や年齢によってそれぞれ約70ドルから200ドルくらいの価格が設定されており、新しく里親になっていただく方に支払ってもらうシステムになっています。
里親を希望された方は、担当スタッフにより生活環境や経済力等を慎重に審査され、引き渡し後には、医療費やトレーニングクラスの割引が受けられる特典もASPCAで用意されています。
動物愛護団体ASPCAの何人かのドッグトレーナーには、私も大変お世話になっているのですが、元々は犬猫の愛護団体ではなく、過去にアメリカの交通機関の中心だった馬を保護する組織だったそうです。馬が不当な労働を強いられてはいないか、虐待は行なわれてはいないかなどを取り締まる組織が、現在は犬や猫を守る組織にその姿を変えたという事ですから、かなりの歴史ある動物愛護団体である事は当然でしょう。

こちらは、NY郊外にある別の保護施設で、マンハッタン内のASPCAと違い、頭数も多く、平屋建てで、ゆったりと造られています。
その中には警察組織も組み込まれており、動物の不当な扱いをする人に対しては逮捕できる権限を有している所が日本の愛護団体とは大きく異なる点ですね。
動物保護が盛んなアメリカでも、動物虐待や無責任な飼い主による問題が後を絶たないという現状があります。日本も、動物愛護法が改正され、以前より改善されつつありますが、ASPCAのようなシステムの非営利組織の活動はまだまだ難しいと思われます。
いくら法律が変わったとは言え、動物たちが飼い主の所有物、「物」という扱いである部分がまだまだ拭い切れていないのが今の日本の現状なのでしょう。
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